カクヨム創作落語トップクラスの傑作
- ★★★ Excellent!!!
「創作落語」と銘打たれてなかったら絶対古典落語と勘ちがいしたと思う。
それほどの完成度の高さで、時間に洗われないと得られないような余裕と風格も感じた。
冒頭熊がご隠居に羊羹を要求するくだりがまずおかしい。
さりげなく「虎屋」ということでリアリティも増す。
創作落語でこういう小道具はないがしろにされがちなので新鮮だった。
また熊に九官鳥の名前の由来を聞かれたご隠居が
「……今すぐかい?」
と答えるくだりもおもしろかった。
こういう奇妙な間とか、演じる落語家の姿が目に浮かぶような台詞回しは、よっぽど落語に親しんでいないと書けないと思う。
最後のオチも見事だった。
見事すぎてちょっと怖くなるほどだった。
剣の達人のとどめの一太刀を浴びた気分で
「参りました」
と素直に脱帽した。
カクヨムの作品を読んで、こういう気持ちになることはあんまりない。
カクヨムの創作落語中トップクラスの作品なのは間違いない。
すべての落語好き、また短編小説好きにおすすめしたい傑作です。