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- ★★★ Excellent!!!消える……残す
鉤の知恵の輪が外れぬようでそれが〝理解った〟瞬間、脱力するように、読了した瞬間、深い溜息が漏れた。これは凄い、と。
盲人の娼婦・砂霧の話を訊く〝物書きの先生〟、砂霧の身の上話を聞く内に読者は同情するだろう。
しかしながら、それは徐々に不穏なものになっていく。
自身を見受けする者が現れる頃には砂霧が……これ以上は私の口で説明するよりもそのおぞましきものを自らの眼で確認して頂いた方が背筋に悪寒が走るであろう。
本作で描かれているのは〝消える〟という事だ。食べ物は〝消える〟、一夜限りの関係も〝消える〟、しかし、それが出来ないとなると――。
物書きの先生も存外〝ひどいひと〟である。
かつて土…続きを読む - ★★★ Excellent!!!語りの奥から恐怖が滲む文芸ホラー。
ウチは『砂霧』を、静かな声で心の奥へ入り込んでくる文芸ホラーとして受け取ったよ。
ただ驚かせるタイプの作品やなくて、読み進めるほどに、語られる過去の重さや、閉じた場所の湿度、人の声の気配がじわじわ迫ってくるんよね。
この作品の怖さは、派手な怪異や大きな事件だけにあるわけやない。誰かの人生に耳を傾けること、誰かの痛みを知ろうとすること、その行為の奥にひそむ不穏さが、ゆっくり立ち上がってくるところにあると思う。読者は語りを聞くように物語へ入っていくんやけど、気づけばその声の温度から離れがたくなってる。そこが、この作品の大きな魅力やね。
文章はしっとりしていて、古風な言葉づかいや間の取り方が、…続きを読む