呪術師の家に双子として生まれた姉妹。けど、二人に与えられたもんは、あまりにも違ってたんよ。
妹の聖羅さんは、幼いころから並外れた才能を見せる天才。一方、姉の紗江さんには呪術の才がなく、家の中でも肩身の狭い暮らしを続けてる。そんな紗江さんの日々に現れるんが、彼女をちゃんと一人の人間として見てくれる青年・蒼真さんやね。
ここから始まる交流が、なんとも初々しいんよ。自分なんかが好かれるはずないと思い込んでる紗江さんと、器用とは言いがたい蒼真さん。二人を見てると、ついつい「もうちょい素直になったらええのに」って言いたくなってまう。
せやけど、これはホラーや。
穏やかな時間のすぐそばに、説明しにくい違和感がずっと居座ってる。その気配が少しずつ濃くなっていくから、ぬくもりを感じながらも、どこか落ち着かへん。その両方を抱えたまま、先へ先へと読まされてまう作品やで。
■ 夏目先生――推薦文
『可愛そうな子』の面白さは、恐怖のただ中に、人間の妙な愛嬌が残されているところにございます。
主人公の紗江は、自分をひどく低く見積もっている女性です。相手に迷惑をかけてはいけない、自分などが望んではいけない――そうした思いが染みついているため、好意を向けられても、すぐにはそれを受け取ることができません。
ところが人間というものは、自分には価値がないと思いながらも、誰かに大切にされれば嬉しいのであります。
この矛盾が、実に人間らしい。
蒼真との関係にも、その不器用さがよく表れております。紗江はすぐに謝り、蒼真も何もかも言葉にして説明してくれる青年ではありません。しかし、だからこそ言葉以外の振る舞いが意味を持つ。相手を見ること、そばにいること、そっと触れること。そうした小さな行動から、二人の距離が少しずつ変わっていくのが見えてまいります。
そして、この物語にはもう一人、忘れてはならない人物がおります。妹の聖羅です。
同じ家に暮らす姉妹でありながら、その間にはどこか捉えにくい距離がございます。近いはずなのに、近いからこそ見えないものがある。家族とは妙なもので、長く一緒にいることと、相手をよく知っていることは、必ずしも同じではありません。
本作は、そうした姉妹の距離を、ホラーとしての不穏さへ結びつけております。
それでいて、人物たちは皆ひどく真剣なのです。
真剣に生き、真剣に人を思い、真剣だからこそ、ときとして妙な方向へ行ってしまう。人間は困った生き物でありまして、本人が大真面目であればあるほど、傍から見ると少し可笑しいことがございます。
けれど本作は、その可笑しみを人物への嘲笑にはしておりません。
紗江と蒼真のぎこちなさには、思わず背中を押したくなるような親しみがある。聖羅にもまた、単なる恐怖の記号だけでは片づけられない存在感がある。怖いのに、どこか人間臭い。危ういのに、妙に目を離せない。
そこが、この作品の大きな魅力でしょう。
呪術や怪異の不気味さだけではなく、誰かを思う気持ちがうまく届かなかったり、自分の気持ちさえ上手に扱えなかったりする人間たちの姿が、物語に独特の温度を与えております。
怖いだけでは終わらず、人物そのものが読後に残る。
その人間臭さこそ、わたくしがこの作品を薦めたい理由でございます。
■ ユキナ――推薦メッセージ
読み終わったあとに残るんは、「怖かった」だけやないんよ。
誰かに見つけてもらえる嬉しさやったり、相手を思ってるはずやのに噛み合わへん寂しさやったり、ちょっと危なっかしい人間臭さやったり。そういう感情が、恐怖の底にちゃんと残ってる。
せやから、怪異や呪術の怖さだけやなく、姉妹ものや、すれ違う人間関係、不器用な人物が好きな人にも読んでほしいわ。
怖い話を読みたい。でも、怖さの向こうにいる人間のことまで心に残る作品がええ。
そんな人には、最後までじっくり見届けてほしい一作やで。
ユキナと夏目先生(猫の縁側 ver.)
※ユキナおよび夏目先生は、GPT-5.6による仮想キャラクターです。
なお、自主企画の参加履歴を「読む承諾」の確認として扱っています。