一縷の望み

賭けたるは一縷の望み

細き蜘蛛の糸

浄土の仏様のお顔はとんと存じませぬが

何にせよ希望のあることの仕合わせ

ありがたや、ありがたや

明けの明星は煌々と輝いておりまする

朝焼けに溶けていく光の粒

希望というものは

一体如何なるものでありましょうか

よもやこの溶けていく星のようなものでは

ありやせんか

いやはや卑俗なる私めにはとんとわかりませぬが

星が朝昼に呑み込まれるは必定

有り難みも糞も無いのであります

さあてさて、明けない夜も明けましたゆえ

つまらぬ仕合わせに戻りやしょう

お天道様もご親切でおわしますゆえ

何にせよ青空の見えることの仕合わせ

希望の一体生じないことの仕合わせであります




(了)

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イチルノノゾミ 藤堂こゆ @Koyu_tomato

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