嘘が本当になる、そんな不思議な物語
- ★★★ Excellent!!!
「180センチ以上の身長に、目鼻立ちが整った小顔。雑誌モデルのような存在感は、異世界から来たような圧倒的なオーラを放つ、校内では有名な女子高生」──そんな完璧なヒロインと共にクラス委員を押し付けられた主人公が、彼女に話し掛けるところから物語は始まる
涼宮ハルヒの憂鬱に端を発したセカイ系の流れを汲む本作品は、短いながらもよくまとまった秀作だ
嘘が本当になる
ドラえもんの道具にでもあるような能力だが、それを多用することでヒロインは苦しんでいる
当然だ
嘘によって現実となった「偽物」が周囲に溢れ、やがて自分の容姿すらも偽物にしてしまったのだから
捨てようと思えば捨てられたのかもしれない
だが、捨てられるはずもない
過剰な大金は自らの身を滅ぼすからと、当たった宝くじを破り捨てられる人間が、この世にどれだけ存在するだろうか
そこに現れた「嘘が通用しない男」──すなわち主人公が、彼女にとってどれほどの救いだったのか、想像するだに心が痛む
すべての嘘を捨てたヒロインが、主人公と共に「本物」の人生を歩めることを祈ろう
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