水槽の中で輝き、手にすれば気持ちの悪い金魚は。
- ★★★ Excellent!!!
物語に散りばめられた金魚についての描写は、妙に緻密で、多彩で、単に見て美しいだけの存在ではないことを示していました。
そして同じように、単に綺麗で美しいだけではない恋をしてきた主人公の経験が明かされていって。ああ、じっとりしてるなぁとしみじみ思いました。
そして、和彦さんとのお見合いで、彼にピンと来た後、死という形で物語上の現在から退場してしまう曾祖母。このあたりも構造を意識して作られてるなぁとただただ感心でした。
主人公はその後、曾祖母に倣う形で金魚すくいという賭けに出ますが、お目当てのものではない金魚を狙い、賭けには負けてしまいます。ただ、それでよかったのでしょう。主人公はきっと、手にしたら気持ち悪く感じてしまう金魚をすくう必要なんてないのだと、誰かから教えられたのかもしれません。和彦さんが言った「愛がある」なんて言葉も、その誰かが引き出していたりして?なんて想像も働きました。
まあ何にせよ、曾祖母の残したあたたかみを感じる作品でした。
描写が持つ力と構造への配慮が綿密に施された、間違いない傑作だと思いました。