雪女×密室殺人。想像の斜め上を行く衝撃の結末!
- ★★★ Excellent!!!
雪に閉ざされた山荘といえば、言わずと知れた古典的ミステリーの舞台。本作はそこに「雪女」という伝奇的なモチーフを絡めたミステリー作品でありながら、コメディ作品でもあります。しかしながら、コメディ要素はミステリー要素と喧嘩することなく、うまく調和していて、筋立てとして本格ミステリーの醍醐味をしっかり堪能できる一編となっています。
起きてしまった密室殺人事件。ミステリーオタクと思われる山荘の管理人が事件を仕切り始め、犯人捜しが始まってしまいます。犯人は主人公グループにとって雪女と断定できる状況ですが、雪女のことをしゃべると自分の命はない。犯人と断定されるということは、やがて雪女の存在について触れざるを得なくなる。主人公グループ内での犯人の押し付け合いを「ババ抜き」にたとえた構図が見事でした。
登場人物たちも魅力的です。クレバーな主人公をはじめ、どこか憎めない印象の双子、ミステリー愛ゆえに事態をややこしくしてしまう山荘の管理人——それぞれのキャラクターがしっかりと立っていました。
そして迎える結末は、まさに想像の斜め上を行く衝撃の展開。ミステリーとしても、コメディとしても、短編ながら非常に満足度の高い作品でした。
素晴らしい読書体験を、ありがとうございました!