記憶を代償に──大切な誰かを守ろうとする姉妹と悪魔のダークファンタジー
- ★★★ Excellent!!!
森の小さな村で暮らす姉妹と
彼女たちを見守る契約悪魔。
ささやかな朝食
手づくりの耳飾り
森の気配──
積み重なる温もりの描写が
やがて〝記憶を代償とする祈り〟へと
静かにつながっていく過程が
胸に沁みます⋯⋯
真紅の鎖と精霊の器をめぐる
血の匂いさえ感じるような残酷さの中で
礼儀作法だけが身体に残り
大切な名前だけが
霧の向こうへ消えていく感覚が痛い──
守れなかった痛みに
震える悪魔の姿が切なく、美しく
読後も長く余韻が残る
静かで残酷なダークファンタジーです。
静かに心を抉られたい方に
とてもおすすめします。