エピローグ


 絶えず多くのひとが行き交う、渋谷駅前。

 そこに新たなポスターが掲載された。


 道行く人は先を急いでいるのにも関わらず、目を奪われたようにその前でふと立ち止まる。


 ガラス細工のように美しい東雲律、一躍時の人になった吉良紡。ふたりでひとつ、唯一無二の存在。それが「One」。


 輝きを増した律の隣に寄り添う紡の瞳は、いつにも増して星を蓄えている。キラキラと眩しいその瞳は、今も昔も変わらずいつだってまっすぐに律だけを見つめる。


 「One、来月デビュー」

 目立つように大々的に書かれたそんな文字に、女子高生は興奮しながら写真を撮る。そしてSNSにアップされると、更に話題を呼び、人々は期待を募らせた。


 まるでぴったりと嵌るパズルのように、隣にいるのがお似合いのふたり。彼らの物語はまだ始まってすらない。


 誰もがその時を待ち遠しく思っていた。


 都会の喧騒は、止まない。

 いつまでも動き続けるこの街で、吉良紡と東雲律は生きている。


 隣に並んで、彼らだけの旋律を紡いでいく。



 【完】

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【BL】また今日も、貴方に夢を見る【完】 新羽梅衣 @28_mei

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