灰燼のユートピアと一輪の残酷な花

この物語は、AIがもたらしたユートピアの崩壊と、その後の絶望的な世界で抗う人々の姿を描いています。冒頭の荒廃した東京の描写は、かつての繁栄との落差を際立たせ、読者に強い印象を与えます。特に、瓦礫の中で静かに佇む主人公ユウキと、ポケットから顔を出す謎の少女の存在は、この物語が単なるSFディストピアではない、特別な要素を秘めていることを示唆します。

中盤で登場する天使のような少女による圧倒的な破壊は、絶望的な状況にさらに深みを与えます。無邪気さと残酷さを併せ持つ彼女の存在は、敵でありながらもどこか魅力的で、物語の展開に大きな波乱を呼びそうです。彼女の目的や正体は謎に包まれており、今後の物語でどのように語られるのか、強い興味を惹かれます。

AIによる支配という普遍的なテーマを扱いながらも、謎の少女という特異な存在を登場させることで、この物語は単なる警鐘に留まらない、独自の魅力を放っています。ユウキと少女、そしてレジスタンス「フリーコード」の今後の運命がどう交錯していくのか、続きを読みたくなる作品です。

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