丁寧に描かれた王道ファンタジー

主人公フラムとヒロインのフェレシーラの旅路が非常に丁寧に綴られた王道ファンタジーです。
子どもの頃に夢中で読んだファンタジー小説を思い出しました。

とはいえ、設定は非常に精密なので、大人に是非読んでいただきたい作品です。
魔術の仕組みや政治的情勢、フェレシーラの所属する聖伐教団やその世界に存在する物質など、とても作り込まれていて読み応えがあります。
こうした作り込まれた設定は、どうしても説明的になりがちですが物語の進行に合わせて過不足なく提示されていくので、読者が置いてけぼりになることがありません。それもこれも、しっかりと世界が作り込まれているからこそだと思います。

また、主人公の感情が丁寧に描かれているので共感ができます。その想いがあるからこそ、進むんだ、頑張るんだね、と思えます。
だからこそ、この旅路で成長していくのか、追いかけて行きたくなります。
フラムにある術法的不能も、何か意味があるような気がしてなりません(3章まで読んで筆を取っています)

時間をかけて、楽しめる大作だと思います。
これからもゆっくり読んでいきたいと思います。

その他のおすすめレビュー

裕邑月紫さんの他のおすすめレビュー54