第十陸夜 伝説の屋台そば
「あ゙ぁ゙……」
現在時刻は22時30分。つまり私は残業を終え帰路についている最中。
虚ろな目をしながらフラフラと歩いている。
「ううぅ……パソコンとにらめっこしすぎて目が痛い……腰も痛いし……つか、お腹すいたわ〜……」
私はそう言いながら暗くなった夜道をフラフラと歩く。
「今日は優しい味のご飯が食べたい……ん?」
私はあるものを目にした。
夜道にうっすらと浮かぶ
「もしかして……屋台?」
私は虚ろだった目を通常通りに戻し屋台らしき光に近付き、暖簾をくぐる
「ありゃ!いらっしゃい!」
すると頭に赤いバンダナをした褐色肌の金髪ロングの女の子の店員さんが笑顔で出迎えてくれた。
(うっ……なんてキラキラした笑顔なのかしら……!眩しすぎて消滅してしまいそう……)
私はそう思いながら店員さんのキラキラした表情を凝視する
「ん?うちの顔になんか付いてます?」
「あっ!い、いえ!なんでもないです!」
「そうかえ?ならいいですけど……おひとりですか?お好きな席どうぞ!」
私は店員さんにそう言われると5つしかない席の右端に座った。
(そういえばなんの屋台か分からず入っちゃったけど、なんの料理出してくれるのかしら?)
私は辺りをキョロキョロと見渡す。
すると手元にメニューらしきシートがあることに気がつく。
(あっ。メニュー表?どれどれ〜なんの料理かしら……)
私はメニュー表を手に取り書いてある内容を確認する。
(ザルそば、かけそば、とろろそば、月見そば、山菜そば……へぇ〜!お蕎麦屋さん!珍しいわね〜)
メニュー表にはそばの種類が5つとおつまみの欄にふろふき大根。飲み物の欄にビール、麦茶、オレンジジュースと書かれていた。
「お客さん何にしましょう!」
メニュー表を見ていると店員さんが元気に話しかけてきた
「そうね〜……じゃあ月見そばでお願いします!あとビールも!」
「あいよ!すぐに出来るからちょっと待っとってな〜」
と、店員さんはすぐに準備に取り掛かった。
「先ビールだけ出しときますね!」
と、店員さんは私の前に蓋の開いた瓶とグラスを置いた。
「あっ。ありがとうございます。」
私は瓶を手に取り、グラスに注ぐ。
(むふ〜!ビール!いつ見ても美味しそうね!早速飲んじゃいましょ!)
そして私はグラスに入ったビールを一気に飲み干す。
「ぷはぁー!残業後のビールうめぇ〜!」
私はビールを飲んだことにより表情が一気に明るくなる。
「おっ!お客さんいい飲みっぷりですね!お蕎麦もうちょっとで出来ますんでもう少しお待ちください!」
そう言うと店員さんはつゆが入っているであろう寸銅鍋の蓋を開け、どんぶりに注ぐ。
(うおぉぉ。つゆのいい香りが広がってる〜!食欲がそそられるわ〜!)
「お待ちどう!月見そばです!」
と、私の目の前にキラキラと光ツユに沈んでいる細麺にまるで月のように己を主張する黄身が浮かんだそばが運ばれてきた。
「うおおお!美味しそうな見た目!匂いも相まってお腹がこれを欲してるわ!それじゃあ早速!いただきます!」
私は割り箸を綺麗に割り、そばをすくい上げ一気にすする。
(むほぉぉぉぉ!そば!ザ・そばって感じのシンプルかつ出汁をしっかり吸い取った麺!ラーメンとはまた違った舌触り!しっとりとした中にそば粉特有の美味い苦味をしっかり感じ取れる深みがある麺!最高だわ〜!)
私はそのまま麺をすすり続ける
(さ〜て!月見そばのメイン!卵の黄身を割ってツユにかき混ぜる!)
そして私はゆっくりとツユに卵を馴染ませる。
(よし!それじゃあ卵と混ざったツユに入った麺を……すする!うぅん!卵が混ざりあったことでさっぱりしたツユにまろやかさが加わってさらに深みが出てるわ〜!美味しすぎて箸が止まらないわ〜!)
私は麺を味わい、恍惚の表情を浮かべる。
(残りのツユも全部頂いちゃいましょ!)
と、私は器を顔の前まで持ってくる
(う〜〜ん!ツユの甘い香りを直に感じるわ〜!ゴク……ゴク……ぷはぁぁぁ!カツオベースの甘〜い醤油味!そばといえばこの味のツユよね〜!さっぱりしててゴクゴクイケちゃう!)
と、私はそのままツユを飲み干した。
「ぷはぁー!ビールも美味い!最高の夜ねぇ〜……」
そう言うと私はその場に突っ伏し、そのまま寝てしまった。
「それは良かったです!そういえばお客さん悪魔族ですよね?……お客さん?」
そう言いながら店員さんが私に近く。
「おーい?お客さーん?」
店員さんは私の体を揺さぶる。
しかし私は寝息を立て全く起きる気配がない。すると女の子はため息を付き、厨房の中から毛布を取り出し私に掛けた。
「はぁ……うちと一緒の異世界人やきもっとお話したかったちや。」
と、微笑みバンダナを取ると頭部に虎のような耳が出現した。
そして店員さんは屋台の電気を消した。
──────────────────
「んぁ……あれ?もしかして寝ちゃった……?」
私は目を擦りムクっと体を起こす。
そしてスマホで時間を確認する。
「6時……ヤバっ。めちゃくちゃ寝ちゃった。ごめんなさい!店員さん!私寝落ちしちゃっ……あれ?」
私が謝ろうと厨房を覗くと女の子は私と同じように厨房に突っ伏し、寝息を立てながら寝ていた。
私はその様子を見て、起こさないように財布から取り出した1万円を寝ている店員さんの腕に挟ませた。
「宿泊代も
小さな声でそう言って私はその屋台をあとにした。
┈┈┈┈3日後┈┈┈┈┈
私はお昼ご飯を食べ終わり会社に戻っていた。
「次はこの仕事終わらせなきゃ……うん?あれは……」
私は左にあったケーキ屋に目をやるとそこには見知ったような姿の人がいた。
(屋台そばの店員さん!私服大人っぽい!なんか耳生えてる……もしかして異世界人?!)
私がそんなことを思っていると店員さんはなにかに気づき左側を見る。
するとまるで岩のような大きな男が店員さんに笑顔で近付いてきた。
(えっ?!は?!デカッ!何あの人!ほんとに人間?!もしかして店員さんの彼氏?!)
なんて事を思っていると2人ともニコニコの笑顔で話を続け、店員さんが男の腕に抱きついた。
(まじ?!すごい身長差ねぇ〜ヤバっ!早く戻って仕事しなきゃ!)
と、私は小走りで会社に戻って行った。
【おまけ】
「うぅぅ……寒い……」
私はガクブルと震える体を押さえ会社に出勤していた。
(寒すぎない??マフラーも手袋も厚着のジャケットまで着てるのに?寒すぎるんですけど?!)
私はガクブル震わせ鼻水を垂らす。
「あっ!おはようございます!花子先輩!」
すると背後から元気声が聞こえてきた。
樹奈子ちゃんだ。
私はおはようと言い振り返る。そして私は樹奈子ちゃんの服装を見て唖然とする
「おはようございます〜!今日も寒いですね〜!」
何と樹奈子ちゃんはスーツのみで防寒着はマフラーしかしていなかったのだ。
「き、樹奈子ちゃん?!それだけじゃ寒いでしょ?!」
「まぁ、寒いですけど震えるほどではないですね!マフラーだけで十分ですよ!それじゃあ先行きますね!」
と、樹奈子ちゃんは鼻歌を歌いながら会社に元気よく向かって行った。
「…………若いってすごいわ。いや、そんな年齢変わらんけど。」
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悪魔ちゃん的深夜飯 妖魏識 コヨミ @amagawaYui
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