第十伍夜 深夜の魅惑のホットドッグ
〇深夜0時35分●
「ふぅ……はぁ……」
私クロス・ペナ・スタンタスこと竹内花子は現在ぽっこりお腹を治すためにダイエット中!
「けっこー走ったわね〜。駅前まで走って来ちゃったわ〜。流石に疲れたわね〜。」
私は汗を流しながら膝に手をつく。
「あっつ〜!少し休憩してから帰りましょ……」
私はそう言うと駅前にあるベンチを見つけ、座り込んだ。
「このまま続ければ確実に痩せれるわ!この調子で明日も頑張って…………あれ?」
私は時間を確認するため、腕時計を確認しようと顔を上げると、目の前に光を放っている屋台のワゴン車が写った。
「こんな時間に屋台?不思議ね〜。」
私はそんなことを思いながら屋台の外に出ている旗に注目する。
「“プルドポークドッグ”?何かしら?普通のホットドッグじゃ無さそうね……」
私がそんなことを思っていると、いい豚肉の匂いが屋台から漂ってきた。
「うわ〜!いい匂い!豚肉の脂の匂いがふんわり漂ってるわ〜……ってダメダメ!私は今ダイエット中!ホットドッグなんか食べたら全て水の泡になっちゃうわっ!」
私は匂いにつられてしまいそうになったが、ダイエット中だったことをギリギリで思い出して踏みとどまった。
「で、でも……ランニングしてお腹すいてきちゃったし……い、1本だけなら……」
あーこりゃまた手が出ちゃうタイプだわ。
止めらんねぇわ。
そりゃ肉と脂が焼かれたいい匂いがしたら手が伸びちまうか。
そして私は気付いたら屋台の前まで来ていた。
「す、すみませ〜ん……」
私が屋台に向かって声をかけると、ひょこっと髭面のおじさんが台所の下から出てきて「いらっしゃい!」と声をかけてきた。
「おっ!悪魔族さん!こりゃ珍しい客人だねぇ!どれにします?」
「え、じゃあオススメとかありますか?」
私がそう言うと待ってましたと言わんばかりの笑顔で1番シンプルなプルドポークドッグの説明をし始めた。
「そうですねぇ!ワシが1番オススメするのはやはりプルドポークドッグでしょう!アメリカ南部のソウルフード!プルドポークをホットドッグにしたものです!」
「へぇ〜!そうなんですね。じゃあそれにします!あとは……ビールをください!」
(まぁ、ダイエット中だけど明日から気を付ければいいもんね!まぁ、ランニング頑張ったし!これくらいへーきへーき!)
と、私は頭の中で自分を何とか説得していた。
「はいよ!じゃあちょっと待っててねぇ!」
と、髭面のおじさんは相変わらず笑顔のまんま厨房で調理し始めた。
私はそのまま待機することにした。
(プルドポークドッグ……一体どんなのが来るのか楽しみね!)
私はニコニコで一体どんなホットドッグが来るのか待ちわびていた。
(ソーセージの上に豚肉が乗っかってるとか?!それとも豚肉がそのまま使われたホットドッグ?!あ〜!想像してたらもっとお腹すいて来ちゃった!早くできないかな〜♡)
私がプルドポークドッグに対する妄想をして、腹を空かせると屋台から「お待たせしましたー!」と髭面のおじさんが顔を出した。
「おっ!きたきたー!」
「出来ましたよー!どうぞ!こちらプルドポークドッグとビールです!」
「おぉ!これがプルドポークドッグ!」
と、私の手元に渡ったのは
ホットドッグのバンズに柔らかくボロボロになった筋のような油が輝いている豚肉に、チーズがかかった代物だった。
「すごぉい!なにこれ?!なんかお肉がホロホロのお肉?」
「そう!それがプルドポーク!17世紀のアメリカで硬い肩ロースばかり支給されていた奴隷達がどうにかして美味しく食べようと、じっくり時間をかけて煮込んで作った苦肉の策で生まれたベリーデリシャスな商品なんだ!」
「へぇ〜!そんな時代背景があったんですね!」
「ささ!頂いちゃってくれ!きっとお客さん好きな味だぜ?」
と、髭面のおじさんは私にウィンクしてそう言った。
「わかりました!それじゃあいただきま〜す!!」
私は大口を開け、プルドポークドッグを頬張る。
(うぉぉおおお!!固くて油がそんなに無いはずの肩ロースから溢れて来る肉汁!!アッツアツで塩っけがちょうど良くて舌の味覚が刺激されるぅぅ!しかも噛まなくても自然に口内で消える!!硬いお肉が長時間の努力でホロホロになってサッ……と口の中で匂いとしょっぱさだけ残して消える!!それにとろとろのチーズが組み合わさってサイコー!)
私はホットドッグを食べ目を輝かせる。
その様子を見た髭面のおじさんは私に向かってグッドポーズを取った。
(言わなくてもわかるっ!きっとおじさんは『美味いだろ!プルドポークドッグ!』って思ってるに違いない!えぇ!めちゃくちゃ美味しいわ!)
と、私もおじさんにグッドポーズを返す。
(またこのビールも最強よ!こんなハイカロリードッグにベストマッチのビール!!不味いわけがないっっ!!)
と、私はビールをぐびぐびと飲む。
「ぷはぁ〜!ベリーグッド!!人間の素晴らしい知恵に感謝!!」
と、私はプルドポークドッグに向かって手を合わせた。
「あっ。そういえばこれ。一緒に付いてきたホットソース!味変にちょうどいいわね!」
と、私は残りのホットドッグにホットソースをかける。
「さぁ、どうかな〜?」
そして私はまた大口でホットドッグを頬張る。
(うんうん!辛いっ!アメリカのスパイスって感じ!唐辛子のピリッとした辛さとポークのしょっぱさが見事にマッチして私の舌を唸らせてくれるわ〜!!そして〜!辛くなった舌にビールを流し込むっっ!)
「ぷはぁ〜〜〜〜♡プルドポークドッグ!!さいっこう!!」
と、私は恍惚の表情を浮かべホットドッグとビールをそのまま食べ続けた。
「ふぅ〜!満足満足!初めて食べたけどめちゃくちゃ美味しかったわ〜!こんなにもビールに合う料理があったのね〜。新しい発見で感激〜!」
私が満足してお腹を撫でてると、髭面のおじさんが私に近付いてきた。
「ヘイ!悪魔族のお客さん!いい食いっぷりだったね!!これ!特別にあげちゃうよ!!」
と、渡してきたのは“ビール1杯無料”と書かれたクーポン券だった。
「えぇ?!いいんですか?!」
「いいよ!いいよ!深夜以外は横浜の祭りとかイベントに参加してるし、見かけたらこれ使いな!!」
と、おじさんは輝く笑顔で私にそう言った。
「うわ〜!まじでありがとうございますっっ!」
私が頭を深く下げ、お礼を言うとおじさんは「気をつけて帰りなよ!!」と、笑顔のまんま私に言って屋台に戻って行った。
「……いや〜!最近はいい人にいっぱい会うわね〜!明日もいいことありそっ!」
そうして私はルンルンで家に戻って行った。
┈┈┈┈翌日┈┈┈┈┈
私は会社で部長に頼まれた資料を運んでいた。
「よいしょ……あっ。」
運んでいる際にダンボールの上に乗っていた資料が落下してしまったのでしゃがんで取ろうとその場でしゃがみました。
すると……
ビリッ!!
「ひゃう!!」
私はおしりの辺りから聞こえたその音に察し、バッと立ち上がった。
(し、しまった!今日スカート履いた時なんかキツくて嫌な予感したのよ!的中しちゃったわぁぁぁ!!)
そして私は破けた部分をしっぽで隠しながら誰も見てないか後ろを確認する。
「……はな、こ先輩?」
「あっ……き、樹奈子ちゃん。」
樹奈子ちゃんに見られていた。
ま、まぁ!でも女の子だし、アイツや部長より見られてもマシな人で良かったわ!
「花子先輩……」
「な、何?樹奈子ちゃん?」
「スぅー……派手めなやつでしたけど勝負ですか?!」
樹奈子ちゃんはいきなり大声で私にそう言ってきた。
「は、はぁ?!??!?!な、何言ってんのよ樹奈子ちゃん!!!」
私は焦りながら樹奈子ちゃんを制止させようとする。
「黒色のっっっっ!!!派手めなっっっ!やつでしたねっっっ!!」
きききききき樹奈子ちゃん?!!?!!なにそんなガン開いた目でしかも大声で言うの?!!?な、なんか癖でいつも選んじゃうのよ!!
「一体どこのっっっっ?!どいつのっっっっ?!何処の馬の骨か分からないやつとっっっ?!どこに行くんですかぁぁぁ!!?」
「ちょちょちょ!樹奈子ちゃん!!声大きすぎぃ!別にそんなんじゃないから〜!!止まって〜!!」
私は大声で言い続ける樹奈子ちゃんを制止しようと涙目になっていた。
【あとがき】
みなさんお久しぶりです。コヨミちゃんです。
最近全然投稿できなくてすみません。
色々な事情とかがあって最近投稿できてませんでした……申し訳ないです。
さてさて、今回のお話。楽しんでくれましたか?最後の展開は花子ちゃんがそういう下着を普段から着ててほしいという私の願望です。
ぐへへ。
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