薬売り。因習×モンスター。民話のようなダークファンタジー

樹木の魚が空を泳いでいる。そんな不思議な存在がいる村で因習が行われている。
こういった状況が気になる方向けの、ホラー寄りダークファンタジー。
終始、寓話っぽい。

今となっては長寿シリーズとなった連作短編「薬売りりんシリーズ」の第一話。
2万字超となると読むのにちょっと身構えるけど、樹木魚という和風モンスターの奇妙さと、因習村のミステリーの気になる感で実際には長いと感じない。樹木魚は第一話だからこそある物語の始まりの瑞々しさや、書いてやるというエネルギーが高い気がする。シリーズを読むつもりなら、素直に第一話から読む方がいい。

薬売りりんは平たくいうと、薬を売りながら「特殊能力を持つモンスターを集める人」なんだけれど、薬売りとして人を助ける力を持ちながら、ドライなキャラもあって、因習とどう接点を持つか毎度先が読めない。
怖さもちろんミステリアスがその上をゆく、情景豊かなダークファンタジー。

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