この物語を読んでいると、親子三代に渡って受け継がれる「古メガネ」が、ただの道具を超えて家族の想いや記憶までもそっと繋いでくれているように感じられました。不器用だけれどまっすぐで、少し照れくさい気持ち…きっと誰しも心当たりがあるんじゃないでしょうか。メガネ越しに映るぼんやりした景色さえ、なんだか温かく、愛おしく思えてくるのが不思議です。 日常の中で忘れがちな「大切な人への気持ち」を、そっと思い出させてくれる、そんな優しい作品でした。
目が悪かったわけじゃない。ただ、大好きな人の真似をしたかった。けど、その世界はどうやら「早かった」みたいで…そして時は流れ、少年は祖父になった。そこで見える世界と、孫が見た世界は。思い出と目の前の時間が重なった時、受け継がれる何かに思いを馳せる物語です。
テーマとなる〝めがね〟を通して、子供心の好奇心、初めての光景への戸惑い、それが丁寧に描かれていました。 不器用おじいちゃんの優しさや、孫への愛情が、ほのぼのとした描写でスッと胸に入り込んできます。 主人公の後半部の描写を読むと、「ああ、この〝不器用〟もきっと、受け継がれていくんだろうなぁ」と確信すら持てる、時系列の工夫が面白い構成を感じられるはず。 全編通して、陽だまりのような暖かさを感じるストーリー、文体、お見事でした! 短編1話構成でパッと読めて、スルッと胸に沁み入ってきます……是非ともご一読を!
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