人の最期へ寄り添う行い。それはただの作業ではない。
- ★★★ Excellent!!!
看取り。
人の最期に、寄り添うこと。
合理的には、必要がない行為です。
だけど、人の死をモニターの数字で確認し、その後に現場に向かい、確認して証明し、処理する。
そうなったとき。
人の終わりに行うことは、ただの作業となります。
死亡確認の後は焼却して残留物を保管するだけのこと。
そう処理したとき、人間は生産機械となります。
社会や国家は、価値の交換と保全の場所となります。
看取りは、人が人のために行うための最期の接遇です。
宗教は関係ありません。
尊厳の問題です。
人間が人間だから人間を大切にする。
最期の瞬間に臨む人の在り方なのです。
この物語の終わりのエピソード。
人生の終わりを独りで迎えた方のお話には、看取りの在り方を考えさせられました。
故人の意図しない状況でしょう。
それはユーモラスですらありました。
だけど和む。
何かとの繋がりを、その周りの者たちが知る機会。
それもまた看取りなのだと物語を読む者は知る。そんなエピソードでした。
人間の在り方の最低限の境界。
人を遇すること。
ここにあるのは。
大切だけど意識しないことを、あらためて教えてくれる優しい物語です。
その時を、あなたはどう迎えたいですか?
私はこの作品に、そう尋ねられたような気がしました。