疲れた日に読みたい、宝石のような少年少女の冒険

 魔石が息づく世界で紡がれるアレクスとルナの物語は、まるで宝石箱をそっと開いた時のような、きらきらした眩しさと奥深さがあります。

 二人の日常が丁寧に描かれる序盤から、読者として自然に心が寄り添ってしまいます。父の農作業を手伝うアレクスの成長、家事ときょうだいの面倒をみるルナの優しさと可愛らしい恋心……等身大の彼らの姿に、ふと自分の幼い日々を思い出してほっこりしました。 やがて世界は魔物の恐怖や矛盾、命のリアルに直面し、子どもたちの問いと成長が物語に深みを与えてくれます。ガロッゾ先生のダジャレや温かな教えが、重いテーマの中でもやさしい光を灯してくれているようで、心地よい読後感です。

 まっすぐで不器用な等身大のふたりの冒険のはじまり、きっと心に残る物語になるはずです。ちょっと疲れた日に、そっとページを開いてみてくださいね。

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