一瞬で、まるで春風にさらわれるように心を掴まれました。
- ★★★ Excellent!!!
そっと風に触れるような、柔らかな出会いから始まる物語。
『さよならのキスはそよ風のように』は、孤独に沈んでいた「僕」の心に、名も知らぬ少女の微笑みが小さな光を灯すところから静かに動き出します。月子という存在は、ただの救いではなく、僕に「世界はまだ優しい」とそっと教えてくれる微かな風のよう。
体育祭の一言、何気ないやりとり――その一つ一つが、無音だった世界に色を差すさまがたまらなく愛おしい。心の奥に触れるこの物語は、孤独を知るすべての人に、優しく寄り添う、そよ風のような温もりを運んでくれます。
最後まで大切に味わって読みたくなる作品です。