幼心を最も上手に活用した作品

 この物語において最も印象に残ったのは、主人公和真の「善良さ」です。
 彼は物語冒頭において、ある少女と出会うのですが、その出会いはまさに主人公の「優しさ」を象徴的に描くことができています。
 それは幼さゆえの優しさかもしれませんが、私はこの場面に突き抜けるほどの善良さを見出し、それだけでこの主人公が何者よりも特別だなと感じました(そういう趣旨の物語ではないかもしれませんが、ともかく主人公の性格がとても印象的でした)。

 また様々な社会問題に興味関心の枝葉を伸ばしており、そこに作者様の言葉がはっきりと述べられる構造も相まって、とても明晰的な作品だと思いました。

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