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- ★★★ Excellent!!!忠義と宿命が織りなす、重みある戦国前夜の物語
この作品は、戦や政争が渦巻く時代を描きながらも、合戦や権謀術数の面白さだけでなく、誰かを支えたいと願う人の情と、失われたものを背負って前へ進もうとする志の強さが丁寧に描かれているところが魅力の作品だと思います。
序盤でまず印象に残ったのは、井澤石頭斎が伊勢盛時に若き主・滝野義直の仕官を願い出る一連の場面です。零落した名家の再興という題材そのものも惹かれますが、それ以上に、石頭斎の実直な忠義と、それを受け止める盛時の器量がしっかり描かれていて、主従の出会いとして非常に見応えがありました。
また、細川政元と伯言のくだりも印象的で、人の世に絶望する政元の苦しさと、それに向き合う伯言の在り方が、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!珠玉のモブたちと織り成す英雄たちの幻想歴史物語
時は戦国、所は関東。とある秘密を持つ御曹司が立身出世を願い、仲間と共に舞台に立つ――わけですが、実はそこは割とどうでもよろしい。
いや、どうでもよろしいは言いすぎ、確かに御曹司にも郎党にも秘密あり志あり、そして凡ならぬ才能で物語を彩ります。
ですが、この物語を彩るのは英雄豪傑だけではなく、その他大勢の個性的な脇役たち。
凄いのです。例えば主人公の御曹司のお付の爺の亡くなった奥さんの父親が回想の主に据えられたりして、またこれが濃い、濃い、濃い。
そしてまた、それら言わばサイドストーリーが退屈かと言えばさにあらず。
むしろこの脇役たちこそ人間味が豊かで、大真面目に悲喜劇を巻き起こす。
そんなモブ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!あの時代を生きる人たちの、息づかいが聞こえる――物語。
これは、何の物語か――そう問われれば、戦国時代の関東の物語である、滝野の物語であると答えるべきでしょうけど、やはりここは、あの時代を生きる人たちの、息づかいが聞こえる物語と答えたい作品です。
物語は、伊勢新九郎盛時(のちに北条早雲として知られる人物)に、滝野義直という若者が仕える――という縦軸がありますが、その義直を支える、石頭斎や伯言和尚なる人物がいて、彼らは彼らの「歴史」があって、その「歴史」が横軸として語られます。
それは縦と横で綾なす織物のようなもので、見ていて飽きません。
それでいて平易な語り口で、難しくなく、見ている者の心の中に、物語の光景がスッと入って来ます。
要は――面…続きを読む