店主の気まぐれで、時折開店する怪しげなアンティックショップ「BEAR」。
その店の棚には、魅力的な光を放ちながら鎮座するモノ達。それらは以前の使用者の、想いによって憑かれたモノ達だった。
招かれた客によって購入されたソレラは、怪異を伴って目覚めるのだ。目覚めたソレラは恐怖を連れて突然やって来る。購入者はやがて取り返しがつかない処まで追い込まれるのだ……
各章短編にて語られるオムニバス・ホラー。読み込んでいると、連作と気づく様な仕掛けが巧妙で、その世界観に知らずと取り込まれてしまう。
思わず来店し、アナタの体験したいと思う恐怖が、ここに有ります。
遺品整理業者の久間が不定期で開くアンティークショップ、『BEAR』。
夜にひっそりと開くその店の灯りに、様々なバックグラウンドを持った人々が吸い寄せられていく——。
多くの魅惑的な物品が、時には人を恐怖に陥れ、時には人の悪事を暴き、時には人を優しく救う。単にその物品の美しさに取り憑かれるだけではなくて、それを以前所有していた人々の人生を背負う覚悟が、新たな所有者には求められるのだと思う。
そして、曰く付きの物品を次々とショップに迎え入れる久間氏。彼の妖しい魅力にもまた、読者は引き込まれそうになってしまう。
オムニバス形式なので非常に読みやすく、余韻のあるホラーを味わいたい人に是非おすすめしたい。
まだ最終話まで拝読していないのですが、とても素晴らしかったのでレビューさせていただきます!
情緒ある街並みの一角にある一件のアンティークショップ。
(こんなところにお店なんてあったかな……)
不思議に思いながらも、誘われるようにして店のドアに手をかけてしまいます。
それほど広くない店内ながらも、商品の種類は豊富に取り揃えられているようです。
ピアス。パズル。指輪。シェルプレート。色鉛筆。花瓶。ランプ。手鏡。エトセトラ。エトセトラ。
店内を見回していると、ふと一つの商品が目に止まります。
『ご覧になりますか?』
柔和な笑みを浮かべる若い店主に促され、あなたはその商品を手に取りました。
……その商品を手にしてしまいましたね?
本作はアンティークを手にした一五人の人生の物語が、連作短編に近い構成で語られています。
各話ごとに主人公とテーマが異なり、それによって紡がれる物語のカラーも随分と違って見えます。
とある日常が徐々に恐怖に侵食されていく描写は非常にリアルです。
登場人物たちはアンティークを手にしたことによって狂わされていくのか。
それとも日常の中で無意識下に潜んでいた感情が呼び起こされただけなのか。
それは商品を手にしてみなければ分かりません。
一度手に取ってしまえば、残念ながらもう昨日までの日常に戻ることは叶いません。
それは本作を手に取ってしまった貴方にも同じことが言えるのかも知れません。
古風な風景が残る街の通りの一角。
そこには煌びやかな品物が並べられたアンティークショップがあります。
店に入った客は不思議とそこにある品物に魅せられてつい購入してしまうのです。
しかしその品物は次第に購入した者の運命を狂わせ、あるいは不思議な現象を引き起こし、悲劇や怪異が生まれます。
その様子を主人である謎めいた男、久間はただ静かに傍観して事の顛末を見届けるのですが……。
老若男女、様々な人間がアンティークショップに入っていわくつきの品物を手にしたために巻き起こるホラーエピソードを描いた物語集です。
全部で十五の物語で構成されていますが、何気ない日常描写や心理描写がリアリティのある筆致で描かれていて、いかにも自然と感情移入して読むことができます。
しかしそんなありふれた世界がアンティークショップで手に入れた品をきっかけにジワジワと浸食されて、やがて凄惨な結末や奇妙な展開を迎える流れは恐ろしくてもつい最後まで読んでしまいます。
一番長いエピソードが第一章の十一話構成ですが、その他は短くまとまっていて読みやすく気軽に楽しむことができます。
ホラー小説が好きな方は是非ご一読を。
路地裏で夜間にのみひっそりと営業しているアンティークショップBEAR。そこで購入したアイテムを身につけた人々は、不思議とその日を境に奇怪な現象に襲われ、やがて身の破滅へと向かっていく様子がオムニバス形式で連なるホラー小説です。
曰く付きのアイテムがそれを引き起こすトリガーとなっていることは間違いないのですが、元々そのアイテムを購入する人物自身が多くの闇を抱えており、アンティーク品は単にそれを引き出す役割を果たしているようにも見えます。
そしてなにより恐ろしいのは、アンティーク品によって欲望が暴走し、破滅へと至る登場人物の心情に(その一部ではあれど)共感してしまう自分自身がいることです。
キャラクターの巻き起こす悲劇的な物語をひとつの鏡として、そこに浮かび上がる自分自身の心の闇を見つめること、それがこの作品を最もホラーたらしめている部分なのではないかと私は思います。
多彩な背景と職業を持つキャラクターの書き分けや、それぞれに完結した短篇を繋ぎ合わせる構成巧者ぶりは圧巻です。ぜひ皆さまにご一読をおすすめします。
an antique shop 「BEAR」…
深夜に開店し、早朝に閉店するアンティークショップ。
店主の久間洸希(くまこうき)の苗字にちなんで
久間→くま→ BEARという可愛らしいネーミング、と思っていたら…
BEARの単語には
身につける、愛情や憎しみなどの感情を抱くという意味もあるようです。
お店にはその意味の通りの、様々な人の想いが染み付いた品が並び
訪れた人々をその想いの迷宮に誘うようです。
誘われた人々にどんな物語や結末が待っているのか。
それは、お読みいただければ
お分かりいただけると思います。
an antique shop 「BEAR」は、人が抱き得る闇のいろいろを
確かな商品とともに提供してくれる一風変わったお店です。
宝生駅にお立ち寄りの際は、ぜひともご来店いただければと思います。