概要
A poor prince will be...
父に死なれ、兄は主君と共に京(みやこ)へ――。
継母と共に、亡父の隠居の城に残された若殿は、受け継ぐはずのその城を、家臣に乗っ取られてしまう。
家臣の専横は、兄の不在によるもの――そう信じて、兄の帰郷を待つ若殿。
しかし、兄は一向に京から帰らず、若殿は食うに困り、物を恵んでもらって暮らす日々を送っていた。
いつしか「こじき若殿」と蔑み呼ばれていた若殿。
「兄さえ帰れば」――その希望を胸に抱き、過ごす若殿が、ある日、旅の老僧と出会う。
※拙作「西の桶狭間」の前日譚になります。
継母と共に、亡父の隠居の城に残された若殿は、受け継ぐはずのその城を、家臣に乗っ取られてしまう。
家臣の専横は、兄の不在によるもの――そう信じて、兄の帰郷を待つ若殿。
しかし、兄は一向に京から帰らず、若殿は食うに困り、物を恵んでもらって暮らす日々を送っていた。
いつしか「こじき若殿」と蔑み呼ばれていた若殿。
「兄さえ帰れば」――その希望を胸に抱き、過ごす若殿が、ある日、旅の老僧と出会う。
※拙作「西の桶狭間」の前日譚になります。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「乗っ取られ男」、その最初の物語
下剋上華やかなりし戦国時代。
この時代のファンがあこがれるのは、小田原城を乗っ取った北条早雲や、美濃一国を盗った斎藤道三など、壮大なスケールのハイジャック犯や窃盗犯たちの物語。
我々が心躍らせるのは、こうした「乗っ取る側」の梟雄たちの活躍です。
では、「乗っ取られた側」の物語は?
歴史は弱者に冷たいもの。自分の城や国を乗っ取られた負け犬の物語が語られることは滅多にありません。しかし、人生始まって早々に自分の城を乗っ取られるという逆境に遭遇しつつも、己が才覚で危機を乗り越え、ついには数か国の主にまで成長したとすれば?
本作は、そんな「乗っ取られた男」の、最初の物語です。彼の正…続きを読む - ★★★ Excellent!!!誰ぞ彼ぞという答え合わせが楽しい
非常に読みやすい短編で、一時間足らずで読むことが出来ますが、シンプルで力強いシナリオで、かつ内容がしっかりと詰まっているので非常に高い満足感や爽快感を得られます。
本作は同じ作者さんの別作品の前日譚となります。
しかしながら登場人物の多くは、その名前がラストまで伏せられています。
苦杯を舐めさせられたひとりの少年とその継母、その逆転劇を追いながら、読者は彼らやその協力者の正体について探っていく。自身の歴史的知識を駆使して、その最後に答え合わせを知り、意外な正体に驚けるというのが、本作の醍醐味と言えるでしょう。
また、その名や幾つかのエピソードを知りつつも、知らなかった意外な事実も発見で…続きを読む