喪失と周回が噛み合い、幼馴染の再起動が静かに熱い物語会話の切れ味も抜群

第16話まで読んだ範囲での応援レビューです。

 『エンドレス・ニューゲーム』は、異世界転移と周回チートの気持ちよさを前面に出しつつ、核にあるのは「幼馴染を失った日から、止まったままの時間」をどう再起動するか、という話だ。主人公の杜居伊織は、友達はいらないと言い切る一方で、月に1度、墓前で1時間ぶんの近況を報告し続ける。その乾いた日常があるからこそ、天戸うずめが「143回」世界を救ってきたという異常さが、ただの武勇伝で終わらず、疲労と贖いの重さとして伝わってくる。

 印象に残った具体的な場面は、ハルの墓前で、これまで決して並ばなかったうずめが黙って隣に立ち、花や菓子を供え、やがてID交換に繋がっていく一連だ。古い3人の写真が送られてくる流れは、派手な魔法も剣戟もないのに、読者の心拍を上げる。そこで放たれる「謝らなければいけなかった」という言葉が、以後の周回の意味を、単なる強くてニューゲームから「逃げ場のない反復」へと変えてしまう。序盤の引きとして強い。

 異世界側の描写も、強さの見せ方が早い。ドラゴンが降りた瞬間、うずめのマフラーが武器になる。ここは爽快だが、同時に「強さが問題を片づけても、罪悪感は片づかない」ことも見せている。伊織が技に勝手な名前を付けて茶化し、うずめが即座に切り返す会話のテンポは軽いのに、軽さが逃避ではなく、2人の生存戦略として機能しているのが良い。笑いがあるほど、ハルの不在が輪郭を持つ。

 完結199話の大作で、序盤だけでも「救う」の定義を問う視線が入っている。世界を救い続けてきたうずめを、この世界でどう救うのか。周回の派手さと、幼馴染の距離の詰め直しが並走していく構図が、続きを読む推進力になっている。

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