一気読み必至の完成度の高いミステリー小説

物語は、密閉された状況の中で起きる事件を軸に進んでいきますが、特筆すべきは「何が起きたか」よりも、「どう情報が提示され、どう疑念が積み重なっていくか」の巧みさです。
説明過多にならず、しかし情報不足でもない。読者は常に一歩先を考えさせられながら、気づけば物語の緊張感にがっちり掴まれています。

特定の人物に違和感を覚えたかと思えば、次の瞬間にはその視点すら揺さぶられる。
安心できる立場や明確な正義が用意されていないため、ページをめくる手が止まりません。
静かな会話の場面ですら張り詰めた空気が漂い、読み手の集中力を途切れさせない構成力は見事です。

また、この作品は単なる謎解きに留まらず、「人をどう見るか」「何を信じるか」という感覚そのものを試してくる印象があります。
読み終えたあと、事件は理解できているのに、登場人物の輪郭だけがどこか曖昧に残る。その余韻がとても心地よい。

ミステリーが好きな人はもちろん、
緊張感のある物語構成や、情報の出し方そのものを楽しみたい人に強くおすすめしたい一作です。

その他のおすすめレビュー

なぎゃなぎさんの他のおすすめレビュー293