独特の世界観。透明感のある青春劇。

完全な悪人も、善人もいない。
分かりやすい正しさもない。

著者の他の作品もですが、主人公は優しく、そして人間らしい欠落がある。
都合良く納得したり肯定してくれる大人もいない中、当たり前に否定され、しかも否定される理由も「そりゃそうだよね」と納得がいく。

人並に愚かなのです。

物語が終わっても、これからも問題を抱えながらそれでも進んでいく。
そんな余韻を感じさせる、今の寒くなり空気が透明になりつつある季節に似合う小説です。

著者の他の作品含め、お勧めです。

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