昭和の下町の純喫茶に集う人々が生き生きと描かれている。本作は、そんなエッセイです。
都電荒川線、商店街のBGM、カウベル、銭湯帰りの親父、ピンク色の公衆電話。
昭和を映す点景のなかに純喫茶〝はまおもと〟は建っています。
そこに集まる人々は、誰もが個性的。
ヤクザ顔の店主、マッチョで言葉使いの優しい和さん。狐や狸や猿に喩えられた常連三人組。そして崎山さん。
崎山さんは、お金と時間を費すことでしか愛情を表せない。そんな不器用なおじさんです。
でも、そこが良いのです。
物語は崎山さんの在りし日の顛末を記します。
昭和のスナック通いするおじさんにありそうな切ないエッセイです。
この物語を読む方は、最後にほっこりと胸が温かくなることでしょう。
何も報いがなくとも、ただ一言の言葉を受け取って笑える。
崎山さんは、そんな人間なのです。
自分もそんな人間でありたいものです。
ダメで、しょうもない。だけど大切で温かい。
そんな古き良き時代のおじさんの物語です。
お勧めです。
作者であるTeturo 様が、過去のメモから書き起こしたエッセイです。
高校生の「僕」がアルバイト先に選んだのは、下町の喫茶店。ですがこの喫茶店、経営者はヤのつく自由業上がりに見える強面、マスターはレスラーばりのマッチョと中々に癖が強いメンバー揃い。
当然のように常連さんも個性的なのですが、その中に「崎山さん」という賑やかな男性がおり、このお話は彼を中心に展開されていきます。
マスターや店長はもちろん、野次を飛ばす他の常連客様も皆さんキャラが立っており、軽妙な語り口と相まって楽しんでスルスルと読めました。
昭和の下町がすぐそこにあるような、臨場感も特徴的。古き良き昭和の雰囲気が好きな方には、ぜひ読んで頂きたい一作です。