概要
カクテルの余韻は、十年の沈黙を破る。
函館のショットバー「ブルーアワー」に戻った探偵・霧島源。静かな夜、彼の前に現れたのは、ギムレットの冷たい余韻をまとった謎の影だった。それは封じたはずの過去を揺さぶり、霧島を港や市電の終点、そして火の記憶へと導いていく。店を訪れるのは、ジン・フィズの泡に青春を重ねる青年、強いマティーニを求める女、夏のモヒートに面影を映す客たち。それぞれが抱える記憶と香りが、霧島の夜に新たな色を添えていく。やがてギムレットの透明な光が照らし出したのは、彼自身も見落としていた「もう一つの夜」。十年前の事件に隠された記憶と向き合うため、霧島は青い灯りの下から再び歩き出す。
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