概要
取引先の彼女を、金曜の夜だけ俺が指名する。残りは十二回。
佐伯悠、二十七歳。中堅のパッケージ印刷会社で営業をしている。
半年前、取引先との懇親会で、購買担当の高梨澪さんを食事に誘った。返事は「無理」。笑いながら、周りに聞こえる声で。
金曜の夜。先輩にもらった紹介コードで、生まれて初めて風俗店に予約を入れた。写真は目元が隠れていた。ホテルの部屋のドアを開けると、スーツ姿の高梨さんが立っていた。
「帰ります。キャンセル料は払いますから」
「……座って。もう、九十分は始まってる」
彼女は三十二歳。店では「りん」。本番はしない、が彼女の線だった。その線を、その夜、彼女は自分で越えた。
「月曜は、知らない顔をして」
帰り際、彼女はそう言った。「次も、指名して。……仕事だから」とも。
月曜十時、彼女は会議室で俺の会社の見積を一円単位で叩く。金
半年前、取引先との懇親会で、購買担当の高梨澪さんを食事に誘った。返事は「無理」。笑いながら、周りに聞こえる声で。
金曜の夜。先輩にもらった紹介コードで、生まれて初めて風俗店に予約を入れた。写真は目元が隠れていた。ホテルの部屋のドアを開けると、スーツ姿の高梨さんが立っていた。
「帰ります。キャンセル料は払いますから」
「……座って。もう、九十分は始まってる」
彼女は三十二歳。店では「りん」。本番はしない、が彼女の線だった。その線を、その夜、彼女は自分で越えた。
「月曜は、知らない顔をして」
帰り際、彼女はそう言った。「次も、指名して。……仕事だから」とも。
月曜十時、彼女は会議室で俺の会社の見積を一円単位で叩く。金
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