概要
「つなぎで、いい」。そう返した夜から、彼女が追う側になった。
三年付き合って、二年同棲した彼女の紗季は、俺より二つ上の二十九歳。
金曜の夜、いつもどおり抱き合ったあと、彼女はベランダで友人からの電話に出た。
「ん、まだ別れてない。結婚相手が見つかるまでの、つなぎだから」
寝たふりをした俺は、翌朝、彼女に言った。
「聞こえてた。……いいよ、つなぎで。俺も、そうする」
その日から俺は、彼女を名前で呼ぶのをやめた。朝食は一人分、生活費は封筒で折半、予定は共有しない。
つなぎに必要なことだけはする。求められれば、応じる。それ以上は何も渡さない。
部屋の更新日は十二月十日。更新はしない、と管理会社に伝えた。残り六十日。
一つずつ外されていく「彼氏」の役目に、追いつけなくなった彼女が、初めて自分から一段降りてくる。
「……つなぎでも、することはするの?」
「求
金曜の夜、いつもどおり抱き合ったあと、彼女はベランダで友人からの電話に出た。
「ん、まだ別れてない。結婚相手が見つかるまでの、つなぎだから」
寝たふりをした俺は、翌朝、彼女に言った。
「聞こえてた。……いいよ、つなぎで。俺も、そうする」
その日から俺は、彼女を名前で呼ぶのをやめた。朝食は一人分、生活費は封筒で折半、予定は共有しない。
つなぎに必要なことだけはする。求められれば、応じる。それ以上は何も渡さない。
部屋の更新日は十二月十日。更新はしない、と管理会社に伝えた。残り六十日。
一つずつ外されていく「彼氏」の役目に、追いつけなくなった彼女が、初めて自分から一段降りてくる。
「……つなぎでも、することはするの?」
「求
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