概要
「透くんなら分かってくれる」――分かったので、別れます。
区役所の戸籍住民課で、毎日だれかの婚姻届を受け取っている宮代透(28)。付き合って三年の彼女・七森莉子のために、記念日のたびに三軒茶屋のビストロを予約し、備考欄に彼女の好きなものを書いてきた。
三周年の夜、予約の一時間前に届いたのは「陽翔が落ち込んでて、ほっとけない。透くんなら分かってくれるよね」というメッセージ。今年、彼女が幼馴染を優先して予定を流したのは、これで十一回目だった。
当日キャンセルは全額。一人で二人分のコースを食べ終えた透の前に、店のパティシエ・花村千景が、手のつけられたことのない三年分の記念日のプレートの話をしにくる。「この備考欄を書いた人が、どんな顔をしているのか、ずっと見てみたかったんです」
分かったので、別れることにした。いなくなってから初めて、彼が黙ってしてき
三周年の夜、予約の一時間前に届いたのは「陽翔が落ち込んでて、ほっとけない。透くんなら分かってくれるよね」というメッセージ。今年、彼女が幼馴染を優先して予定を流したのは、これで十一回目だった。
当日キャンセルは全額。一人で二人分のコースを食べ終えた透の前に、店のパティシエ・花村千景が、手のつけられたことのない三年分の記念日のプレートの話をしにくる。「この備考欄を書いた人が、どんな顔をしているのか、ずっと見てみたかったんです」
分かったので、別れることにした。いなくなってから初めて、彼が黙ってしてき
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