概要
「その絶望、極上の品どすえ」──失って気づく、心の暗闇の価値。
薄暗い路地裏の先にあるモダンな建物【一縷堂(いちるどう)】。
窓ガラスに貼られた〈あなたの不幸、買い取ります〉という手書きの文字は、見た人の澱んだ心にしみる不思議な力があった。
恋人に裏切られ、貯金を奪われ、理不尽な減給に泣く二八歳の会社員・理沙。
人生のどん底で引き戸を引いた彼女を迎えたのは、深い紺色の着物に袴を穿いた眼鏡の若い男・蓮だった。
はんなりとした京弁で語りかける彼が淹れた、アールグレイのミルクティー。
その温もりに心を解かされた理沙が吐き出した絶望は、アンティークの天秤で査定され、ダイアル式の金庫から取り出された「金五十万円」と引き換えに引き取られる。
胸を締め付けていた重苦しい靄は消え去り、人生は好転したはずだった。
しかし数ヶ月後、理沙はすべてが凪いだ心に、あ
窓ガラスに貼られた〈あなたの不幸、買い取ります〉という手書きの文字は、見た人の澱んだ心にしみる不思議な力があった。
恋人に裏切られ、貯金を奪われ、理不尽な減給に泣く二八歳の会社員・理沙。
人生のどん底で引き戸を引いた彼女を迎えたのは、深い紺色の着物に袴を穿いた眼鏡の若い男・蓮だった。
はんなりとした京弁で語りかける彼が淹れた、アールグレイのミルクティー。
その温もりに心を解かされた理沙が吐き出した絶望は、アンティークの天秤で査定され、ダイアル式の金庫から取り出された「金五十万円」と引き換えに引き取られる。
胸を締め付けていた重苦しい靄は消え去り、人生は好転したはずだった。
しかし数ヶ月後、理沙はすべてが凪いだ心に、あ
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