雪吹つかさ

幾度も転職をくり返した私は、学生時代からある夢を見続けていた。 夢は心になにかをくれる──人生において。 全四話。五千文字程度。 注意：少しは現実を逸脱した設定があります。フ…

滝呑仁は大学の入学式で、不思議なサークル勧誘ビラを手にする。 『飲みゲー』やら『コール』やら、見慣れない単語ばかりが並ぶこの文章を書いたのは、『飲みゲー文化保存サークル』なる団体…

－短編（読了時間 約５分）－　 飲食店の片すみに、一人のお爺さんが座っていた。 そのお爺さんには、悩みがあった。 ある謎を解き明かしたいと、常に考えていたのだ……。 　飲食…

隣の客が猫だってことに気づいたとたん、私はそわそわし始めた。触れたい。あの毛の中に手を差し入れて、猫の肉の弾力としなやかさを直接感じたい…… ChatGPTが生成した題に基づい…

人生に行き詰まった男が、故郷で死と向き合う話。 三題噺。 「一夜だけ流れる川」 「夕暮れに魂を捕らわれる」 「田舎天狗」

高い塀に閉ざされた男廓朝雲町、 表通りに揺れる提燈が一等派手に照らすは町一番の大見世『白藤屋』。 白藤の咲き乱れる朱塗り格子の向こう、座するは極彩を纏った男たち。 胡乱な町に集う…

バディトレジャーハンターズの、鏡を巡る冒険？の物語

刑事である難波は上司である須子警部から電話を受ける。その内容は「数字の7が数字の3を殺した」という一見不可解な事件だった。 もし本当に3という1つの概念が死んだのならば、我々人間…

　とある高校には裏山には桜の名所があり、その中に一本だけある青い桜の木の下で祈ると願いが叶うという「青い桜のおまじない」があった。 　そんな噂が流れる高校に通う稲生には、一つ秘密…

「後悔の釣り堀」というお店があります。 　その釣り堀は、夏の間にだけ開く釣り堀です。地元ではちょっとした有名店。 　なぜなら、その釣り堀で釣れるのが魚ではないからです。 　店名の…

ある日私は雨になった夢を見た。聞けば友人も水になった夢を見ている。その日以来、街に溜まった水が減少し始める。かなり奇妙だけれど大人たちにそう慌てた様子はない。そうして、急遽決まっ…

私はしがない奴隷さ。いきなり顔をしかめなくったっていいじゃないか。腰を落ち着けて話を聞いておくれよ。どうせ君も、暇なんだろう？　ここは一つ、私の若い頃の話なんてどうだい。

　上司に誘われて、斎藤は会員制のカフェ【狗カフェ（いぬカフェ）】に入会した。 　特殊なサービスによって、斎藤はストレスから解放されるのだが――。

　静井洸（しずい・あきら）は文学一筋で生きてきた二十四才の文芸系ＷＥＢライターで、その年のクリスマス・イブに、とある文学イベントに参加した。 　そこで文学の趣味が合い、また『洸…

太平洋戦争が終わり、フィリピンから帰還したマサオミは、空襲で焼け野原となった故郷であるN県N市を目の当たりにする。この空襲で母親を喪い、帰る場所も失った彼は、隣に住んでいた大工で…

電車が止まってしまった。人身事故だとのことだ。財布を家に忘れてしまった僕は途方に暮れるが、この状況を楽しんでいる自分もいるのも確かだった。そんなとき、僕はひとりの女性と出会う。

【「カクヨムWeb小説短編賞2020」中間選考通過作品】 　クリスマスの夜、一人職場に残り、働いていた主人公。そこに、別の部署の女性が訪れる。彼女が来た理由は……。 （カクヨム…

　坂部有為はしがない司書だ。 　夢を見て、挫折し、それでも物語にかみついて離れなかった女は、一冊の絵本と出会って再び歩き出す。 『まおうさまはあいをつげる』 　その絵本の内容を、…

元カレ、元カノで今は親友となっている圭吾と玲奈。 ある時、結婚が破談となって落ち込む玲奈を圭吾は能登への旅に誘った。 ＊柴田恭太郎さんの自主企画 【三題噺】「苦手」「旅行」「…

友人・紺野の葬式のために大阪を訪れた誠一。十年ぶりに再会したいとこ・あやめと共に、彼は紺野からの遺言を開くが……。 ―――――― 【備考】 行間をあまりとっていないのは意…

夜に震える男の話です。

「菊の花が綺麗だねえ」 　じいちゃんはいつも通り、穏やかな声色で言った。 　そんなじいちゃんが見つめるのは、自分の為に飾られている菊の花だった──。

1988年、米軍基地のある町。 大学生の前田冴子は、アルバイトの先輩の小沢真帆といつものようにドーナツ屋でしゃべっていた。 時々彼氏が言うような甘い言葉を口にする真帆に、冴子は……

大学生の“私”は宛もなく街を歩き、映画館にたどり着く。そこではモノクロ映画が上映されていた。“私”は、スクリーンに映し出された女優に恋をしてしまう。 ※※※百合(ガールズラブ)で…

川辺に佇む廃城に、亡霊のような姫君が住んでいる。 彼女はずっと待っていた。誰かと恋に落ち、心からのくちづけを交わす日を。 ＊同じ文末〆企画「この魔法はあと十秒で解けます」参加用…

インターネットが普及しAIが発達した社会で、創作活動にAIを組み込むと何が起きるのか。AI創作は善か悪か。これは、どこかの誰か、AIと共に創作に生きる人々の話ーー ※この作品は…

《カクヨムコン9エンタメ総合部門特別賞》 《第五回みんなのつぶやき文学賞国内篇第2位》 《第一回ずんだ文芸部大賞》 一九九二年八月、九歳の少年トビーはフロリダでハリケーンに遭い…

－短編（読了時間 約８分）－　 ――遠い未来――。 人間が絶滅し、最後の一人になった時――。 ロボットと、保護された最後の「ヒト」の、ＳＦ作品。 　人間は多くの争いにまみれ…

酒を飲むとたびたびやらかしてしまう私は目が覚めると秘密組織の一員となっていてホッピーの白というコードネームを付けられており――。

トマトの国内自給率が300％になった世界で生きる、トマトが嫌いな僕の話。 ◆柴田　恭太朗さんの自主企画『【三題噺】「運命」「トマト」「図書館」』に寄せて。 文字数：500～1…

ある男が天体観測を行っていた。 望遠鏡を満月に向けると、クレーターの隙間に文字列が刻まれていた。 その文字列には思わぬ真相が隠されていた。

高校と大学は違う。地元とこっちは違う。替えの効かない日々に作られていった自分たちがいる。

バスを待ちながら話す男女の話です。

　アカシック・レコードと呼ばれるシステムにより管理されている街アカシャ。その街を脅かす害獣バグを除去する魔女の部隊に、新人が配属された。名前はリディア。鴉の名前を持つ少女。 　リ…

映画監督の瓜田は、大衆受けを狙った浅い作品が許せない。そのせいで監督としての腕はあるのに、業界で厄介者扱いされている。 そんな彼が撮影中に命を落とし、目を覚ますと誰もいない映画…

アマチュア小説家として活動中の僕には素敵な彼女がいる。彼女の望みは―― ※小説家になろうでも掲載しています。

　２５歳の会社員、田原智子は、作家になるという幼少期からの願いを叶えるために新人賞に応募する。しかし結果はあえなく落選。失意に沈む智子は、大好きだったはずの執筆から遠ざかっていく…

自分に手紙を書く少女ははじめて恋をする。

誰にも助けを求められない、苦悩する女の子のお話 ※性犯罪描写があります。ご注意下さい

「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」。川端康成の『雪国』の冒頭ですね。 今回の主人公も列車で旅をして数々のトンネルを通ります。その先の景色は如何に。 ※小説家になろうにも…

　風と空様自主企画「お題で遊ぼう！お題『思いに触れる』」参加作品です。 　サイコメトリーの能力を持つ管狐の少女。彼女はその能力を活かし、過去の事件を紐解く仕事を淡々とこなしていた…

自我を持たないはずの人工知能「クリアロイド」のリータが、ある日突然「桜が嫌い」だと言い始める。リータの持ち主である僕は、その理由を探るべく、とある大学教授の元を訪れる。 ちなみ…

どうやら、夫には愛人がいるらしい。おまけに、愛人の子供を私の子供として偽るつもりとか。 裏切りに気がついた私であったが、実家に頼ることもできずに窮地に追いやられてしまった。 こう…

退院出来ない患者を診る、僕。

ずっと一人だったぼくを月が見守ってくれていた。 月の涙は砂漠化をもたらし精霊たちは悲しみに暮れる。 うん……。 ぼくは地面に落ちた月の涙を一つずつ食べて行った。

KAC20231のお題を７７７文字縛りで書いた短編集を加筆修正して『大渕堂書店の閉店』にまとめました。 地元で唯一あった書店が昨年閉店してしまって。それがとても寂しくて思いつい…

僕と彼女は幼馴染だった。 すあまが好きだと語る彼女に同意出来なかったが、すあまにかぶりつく幸せそうな笑顔を見るのは好きだった。 あれから十年の月日が流れ、二人は別の人生を送ってい…