いつも『がつがつ!地球魔女の弟子は犬のように食うっ』をご愛読くださりありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。
■第3部のプロットを設計中
只今、『がつがつ!地球魔女の弟子は犬のように食うっ』の第3部のプロットを設計中です。
全体の1/4ほど、ほぼほぼ詳細も決まって執筆可能な状態です。
あまり先までプロットを決めても、執筆しているうちに矛盾が生じたりよりよいネタを思いついたりして、変更が頻発しますから。
全体の1/2まで見えたあたりで執筆を開始する予定です。
可能なら4月中~5月連休前には連載を再開したいと考えています。
■異世界ファンタジー最大の嘘
この話を執筆していて……なるべく読者に気づかれいように気をつけていたことがありましたが。
第3部の冒頭で、そのことに触れなければならなくなりました。
ネタバレにならないように、詳細は語りませんが。
ほとんどの異世界ファンタジー作品の中で語られる最大の嘘。それは!
・ハンターたちが狩ってきた獣やモンスターに対する、ハンターギルドの買取価格があまりに高額すぎる!
■オークの買取価格を試算してみる
私の近所のスーパーでは、豚肉100gが118~258円で売っています。
これに準じて、異世界でのオーク肉の販売価格を160円/100gにしましょう。
オークの体格はでかい白人男性ほどで、一匹から採れる肉を50kgとしましょうか。
これは日本円で80,000円になります。
注意するべきは、これは肉屋で売ってる末端価格ってことです。
オーク肉を肉屋で売るために、原価がかかっていることをお忘れなく。
・オークの皮を剥いだり肉を削いだりするギルド職人さんの給料
・会計を担当するギルド職員さんの給料
・ギルドから街の肉屋まで肉を運ぶ商人さんの運賃
・肉屋さん自体の儲け
・etc……
・もちろん狩ってきたハンターの取り分も
この末端価格80,000円からみんなの給料や取り分を絞り出す必要があります。
狩ってきたハンターの取り分はいくらになるでしょうか。
全金額の2割だとして、それは16,000円です。
なるほどオークは、肉のほかに皮も売れるんですけど……皮も同じように計算して。
結局そうやって計算してみると。
オークを1匹狩ってそれでハンターが手にするお金は、どう考えても2万円ていどなのですよ。
男数人が2日かけて、命を懸けた仕事の報酬がみんなで合わせて2万円……老後まで生きていくには厳しくないですが。
ハンターや冒険者という異世界ファンタジーでは定番の職業は、現実的には成り立たないのです。
■オークの(嘘の)買取価格を決める
私以外の他の作者さんも、
・宿に宿泊するのが銀貨何枚
・飲食店での食事が小銀貨何枚
などと。このへんの価格はわりと明記することが多いのに、ハンターギルドでの獲物の買取価格については、うやむやにぼかしてことが多いように感じます。
そんな作品群の中で、いつきみずほ先生の『異世界転生、地雷付き。』の一巻に細かな数字が書いてあるので参考にしました。
・飲食店で最低ランクのパンとスープの食事が300円
・きちんとした宿の宿泊料が5,000円。きちんとした食事が800円
・武器屋では最低ランクの剣が40,000円。木刀が1,500円
ここまでは日本人の感覚として(なるほど)なのですが。
ギルドでの買取価格が……ここが大嘘で、
・3人の少年少女が1日で採集した薬草が87,000円
・イノシシ丸ごとが92,000円
・以上、合計で一日の稼ぎが180,000円
3人の少年少女の1日の稼ぎが18万円とは。大した稼ぎだと思いますか?
・武器や防具をできるだけすぐに新調しなければならない
・怪我などで働けない日々の保険のために、500万円を目標にして貯蓄しないけない
などと劇中で少女が計算してみせます。
かように既にギルドの買取価格が大嘘なのに、それでもハンター稼業は過酷です。
とにかく。
ギルドの買取価格で嘘をつかなければ、私の作品も成立しません。
なので私の作品の中では、ギルドの買取価格は本来の5~10倍の価格に設定しました。
■逆の嘘も
一方で、私は作品の中で、逆の嘘もついています。
第一部でチカが倒したオウガについて、ハンターギルドの提示した買取価格が2千万円でした。
すっごい金額。でもこれってExcelで計算すると……本当は2億円なのです。
オウガ1匹を納品するだけで2億円?
あまりに直感に反するので、1/10の価格の2千万円としました。
■オウガの一枚革は人類が初めて手にする幻の一品
この世界において、オウガ討伐に関する一番の難問は「街まで皮を持って帰れない」ということです。
オウガは北の最果ての凍てついた台地に生息します。★1
まず当然の難関として、オウガを討伐するたために、そこまで生きてたどり着くのが大変です。
そして倒したとして……死んだオウガから剥いだ皮は、その瞬間から腐り始めます。
北の大地から街まで、二か月もかけてちんたら運んでいたら腐ってダメになります。
なのでオウガの皮は、オウガを倒した現場――北の最果ての極寒のツンドラで――なめす必要があります。
なめす道具や薬品などを持ち込む必要がありますし、オウガの皮は大きいですから、専門職の革職人を連れてくる必要があるでしょう。
極寒のツンドラの中で、何日かけてオウガを探し、倒すのか知りませんが。その間生き延びるためのテントや生活用品、食料、水、燃料が必要で、街から馬車で運んでくるなら更に馬の飼料や水が必要です。
とまあ。
そんなこんなでオウガの革の末端価格は、たとえ切れ端でも、めちゃくちゃ高価です。
そして今回は、倒したオウガをチカがすぐに『収納魔法』――収納した物は時間停止して腐らなくなるチートな収納魔法で吸い込んで、ハンターギルドの解体場に持ち込んで、ベテランの職人たちが大急ぎで完璧な作業をした結果、人類史上でも見たことのない上物の一枚革が出来上がったのでした。
6月には王都でオークションを開催する予定ですが。
……よほどの上位貴族や大商会でないと、競り落とせないと思います。
はてさてどうなることやら。
筆者である私も頭を抱えています。
「その嘘は私も作中でごまかすのに苦労した!」
などとコメントで盛り上がれたら幸いです。
それでは引き続き『がつがつ!地球魔女の弟子は犬のように食うっ』をご愛読頂けますよう、よろしくお願いいたします。
ではでは
★1 チカさたちがオウガを倒したあの場所は、実はオウガ生息域の南限ぎりぎりでした。だからチカが空を飛んで探してもほとんど見つからなかったのでした