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白い月に飛ぶ

 昨日朝カーテンを開けて空を仰いだら、飛行機が白い月の上を通り過ぎるところでした。

 調べものでflourish(データ・ビジュアライゼーションのプラットフォーム)を見ていたところ、こんなケース・スタディが!
『15世紀ヴェニスの本屋さん』
A visual exploration of a 15th century bookshop
https://flourish.studio/blog/visualizing-data-15th-century-bookshop/

 15世紀のヴェニスで、どんな書籍が読まれ、どのような流通路であったのか。歴史好きとしても、心が躍ります。ビジュアライズしようと思いついたのも素晴らしいですが、台帳からタイトルや数を拾ってデータベース化した努力を思うと頭が下がります。

 センサスやデモグラフィーの統計を見ることが好きだ、とずっと以前に書きました。その「1」という數が、一人の人間を表象しているかと思うと想像が膨らみます。その「1」はどんな人で、どこに住んでいて、今この瞬間何をしているんだろう。そういったデータの可視化というと、まず棒グラフや折れ線グラフや円グラフが思い起こされます。地図もそう。数学が苦手だった私などには縁遠いとずっと感じていましたが、数字を“生きたもの”にする手段なのだと気づいてから、俄然面白くなってきました。

データ・ビジュアライゼーションの魅力盛りだくさん
名称も『information is beautiful』賞って素敵ですよね
“Information is Beautiful Awards” (Data Visualization Society)
https://www.informationisbeautifulawards.com/showcase?action=index&controller=showcase&page=1&pcategory=winner&type=awards

 私の拙い理解では、そもそも数字というものは、分量や時間や空間など、不可視なものを、可視化するのにとても便利だった(代替・表象)。さらに比例して図形を加えると(ビジュアライズ)、関係性や時間による推移がよく分かるようになり、現代に至ってITの恩恵によって、変数を入れて異なる関係性の実験までできるようになった(インターアクション)。データベースも充実してくるので、『ヴェニスの本屋さん』のような面白い研究もたくさん出てくると思います。数字/データはますます雄弁になる。

 と同時に、私から飛行機は点にしか見えませんし、(飛行機雲で気がついた)、乗客は自分たちが地上からどう見えているのか分からないでしょうし、月は毎日異なった動きをしていますし、天気は崩れる。それが一瞬私の目に、晴れ渡った朝の空、月の上を飛ぶ飛行機として映ったことは、確率(データ)に確率(データ)が重なった緻密な”ビジュアライゼーション”と言えなくもないわなあ、と思ったのでした。世界は奇跡で満ちている。

別の日ダーリング・ハーバー上空

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