完結してもレヴューコメントをいただきましてありがとうございます!
あまりこちらに顔を出さなくなったのに読んでいただけて本当に幸せな作品だと思います!
バルサンとトイレ問題、ほんと切実です。
お金がなくて自分の年齢以上の団地に住んでいた時どれだけバルサンにお世話になったか。
そして教えてもらった
「この団地の構造だとバルサン焚くと遠くに逃げて効果がなくなると戻ってくるだけだから無駄だよ」
バルサンに課金した日々に終止符を打った言葉でした。
そしてトイレ問題。
今でこそ水洗トイレや簡易トイレがほぼほぼ標準となった世の中ですが、まだボットンが珍しくもなかった時代、水洗、簡易トイレが普及出したそんな間の時代。
「えー〇〇の家ってトイレボットンじゃん。むりなんだけどwww」
どうしようもない問題に心にダメージを与えるごく普通の会話でしたね。
だけどそれも田舎では今も普通の標準装備です。
つい先日も国道沿いの山間にある手打ちお蕎麦屋さん、それだけで十分お店に入る魅力のあるのぼりを装備したお店に入って次いつであえるかわからないトイレをお借りした時……
ですよねー
周囲に民家もないようなところの一軒家を改造したようなお店に期待しちゃいけませんよねー。
もともとボットン経験者だからお久しぶりーなんて済ますことが出来る大人ですが(大人ってなんだろう)
人口が減っていく世の中でもライフラインが充実していく世の中を願ってふるさと納税のサイトを見つめてしまいますw
そんな中で没祭り。
********************************
糖分三兄弟と言うな(←タイトルに意味はない)
世界に衝撃的な映像が流れた。
相沢の怪しい英訳ではなく職業で翻訳している人が訳した自衛隊公認の動画。
平々凡々な三人と一匹の猫がダンジョンの脅威から世界を救うという衝撃映像だった。
しかもそれはダンジョンが崩壊するライブ配信で、今起こっている出来事にダンジョンは消滅する物だと実証された映像でもあった。
そんな彼ら彼女らと猫一匹は以前より動画配信を行っており、それはそれでまた衝撃映像の連発だったが、何より驚いたのは
「まさか我々の定番商品でダンジョンを攻略していたなんて……」
会議室で映像を改めてみても変わらない事実に佐藤はうなだれた。
使用方法はお守りください。
対象を全く無視した使用方法だが辛うじて間違ってはいない。
ただ誰がダンジョンで使うのかと思っただろうか。
普通のダンジョンならまず間違っても思い浮かばない使用場所。ダンジョンの混雑ぶりに荷物検査まである場所もあるのだから想像なんてつくわけがない。
とは言えダンジョン内では基本は電子機器はない。手持ちのスマホがどんな影響を受けるかどうかぐらいだろう。
無限に広がるダンジョン内で二個三個ころがした所で問題もない。むしろもっと転がすべきと言うべきか。単価は高いかもしれないが成功した冒険者の懐事情なら問題は無いだろう。
さらに出入り口もお風呂の蓋とかを使って蓋をしていたり、その蓋はどう考えても入り口より小さい事を誰も突っ込まない。いや、いろいろ衝撃過ぎて些細な出来事でみんなスルーしたというのが正解と言う意味不明現象。
どのみちその映像のおかげで我が社の電話はパンクしていて、営業用のスマホまで常時鳴っている状態だ。
そんな営業部の戦場を眺めながら
「我が社のCMに出てもらえないだろうか」
部長の尾頭がぽつりとつぶやいた。
「無理っすよ。
窓口が自衛隊のダンジョン対策課なんですから。
既に社長が直接交渉したらしいけど、高山地帯の冬を舐めるなって断られたと言われたそうです」
秒でダメ出しをしたのは河東だった。
「そういや最新の動画は雪かきでしたからね」
「……。
そうか」
温暖化が進み今日も夏日を記録するこの地域ではいくら考えても意味が解らず、とりあえずケンカを売るのはやめておこうと判断。
とはいえ、商品も爆売れで品薄欠品状態どころか生産が間に合わない以前にバ〇サンを求められる季節ではないのに注文が山ほどやってきて、株価も上昇。
もちろんそれは我が社だけではなくライバル企業も関係ない企業も同様にバブルの状態。
金〇の蚊取り線香もまさかの使用方法……
コスパの良さと言うかダンジョン近辺のご家庭にはダンジョン発生前からの常時必須アイテムとなっていた。
「っていうか冒険者の思考回路全く意味が解らん……」
社内で一致した認識。
ダンジョン対策課でも一致した認識に一般企業がついに辿り着いてしまった。
そう。
どれもこれも使い方を間違ってないのがとっても困る。
対象を無視しているだけで使用方法が何も間違っていないのが悔しい。
間違っていたのならこういう使い方をしないでくれと言うアタックの仕方があるのだが、俺達が出来るのはせいぜい
「当社の製品を使っていただきありがとうございました!」
なんて弱いアプローチ。
印象に全く残らなくてこれではだめだとの判断。
なぜならすでにダンジョン対策課経由でメールを送っているのに未だに返事は来ず。
今一番人気の彼らに連絡を取りたがっているのは俺達だけではなく……
「ペットフードの会社とはCMをとったのにな」
「CMの雪しゃん、ほんと美人だった……」
「あの真っ白つやつやの毛並み、光ってた……
ほんと一度撫でてみたい」
河東、佐藤、尾頭は敗者として敵の鮮やかな勝利を褒め称えた。
人間の冒険者はCMには出ずに猫の雪だけが撮影参加と言うその手があったか!!!と言うCMを見た時はほんと羨ましかった。
しかも報酬がその会社からお金ではなくペットフードで支払われるという内容。
「う、うちの会社も……」
「すでに魔法で使えるから必要ないって言われるのは目に見えている。しかもダンジョンの外でも使えるからゴミになると言われるだけだ!」
「うちの商品はゴミじゃない!!!」
河東は全力で叫ぶもあっさりとその分を必要としている人に回してくださいとは言われそうというか、ダンジョン対策課からすでに言われていた。
「自衛隊に優先的に提供しているのに!」
「河東泣くな。
所詮これがお役所仕事という奴だ」
佐藤に頭を撫でられながらも
「そんな所でサワちゃんが何と今度お店を開くという情報がまことしやかに流れている!!!」
左手で河東の頭を撫でながらも左手で拳を突き上げての言葉。
器用だなと尾頭は眺めていたが
「お店という事は飲食関係。
バル〇ンはもちろんそれから発生した魔法は使えない」
言いながらゆっくりと河東と尾頭と視線を合わせながら
「我が社にはバルサン以外にもコバエ対策、ムカデ対策、カメムシ対策もできる商品がある!
どれもこれも飲食店には大ダメージを与える奴らの対策がそろっている!!!
開店祝いでお花と共に試供品としてプレゼントしてからのCM出演の協力を!!!」
佐藤の力説。
周囲でなるほどと聞いていた人は拍手をしかけたが
「無理っしょ。アイはダンジョンの外でも魔法使えるからうちの商品なんて意味ないだろうし……
俺の田舎、アイ達の所と負けず劣らずの田舎だから解るんです。虫と害獣の世界で育つと殺虫剤なんて使わずに物理的に戦う方が正義だって言うのを躊躇わない女の人ばかりだからプレゼントされてもなんだかなーって顔するんです。
うん。雑貨屋さんに置いてある殺虫剤とか大体が埃かぶってるしね」
佐藤はなんでお前はそんな世界からこの会社に就職したと問いたかったが
「とはいえ楽に倒せれたらいいっすよね」
尾頭の言葉。
きっとそれがすべてだと理解できれば……
「河東、スルーされても構わない。
開店祝いの花と共に我が社の商品を贈るように」
「佐藤部長、了解しました……」
結局の所CMのオファーには春になっても受けてもらえなかったけど
「あ、佐藤部長今日の動画見ました?
アイさん達うちの会社の商品つかってCMしてくれてます!」
「ああ、やっと向こうでも虫が動き出したか!」
最高気温30度そこそこの高原地帯の山を舐めていたわけではない。
こちらの季節ではもう初夏をとっくに過ぎているのにやっと迎えたらしい初夏の賑わいに忘れかけた商品を使ってくれてバ〇サン以外の商品も売れだし
「この秋の移動で飛ばされなくって良かった……」
妻子自宅持ちの佐藤はローンを抱えて単身赴任と言う最悪の事態は避けれたという様にトイレの個室にこもって一人静かに涙をこぼしながら勝者のこぶしを握り締めるのだった。