「……なに言ってんのよ、ほんとにもう」
すでに呆れを通り越して、もはや何も感じなくなったビン子は、肩にかけたカバンを軽く持ち直し、そのまま無言でタカトの横に腰を下ろした。
どうやら、タカトの“心の声”はまたしても、口からダダ漏れだったようである。
――アハハハハ、もしかして聞こえてた……?
俺ってアホやぁぁぁ! ホンマもんのアホやぁぁぁ!
しかし……どうやら、権蔵とビン子には本当に見えていなかったようである。
かくいうタカトも、一瞬見えただけ。それが本当だったのかすら、自分でも分からない。
ただ、振り返ったその時――
視界の端に、少女の姿があった。
涙を蓄え、はかなく笑う顔。
青く透き通るその姿から、こぼれ落ちるように言葉が零れた。
「やっと見つけた……」
――あの娘はいったい何だったんだ?
「早く……会いに来てね……お父様……」