「行かないで!」
エメラルダの涙声が響く。
タカトの足がピタリと止まった。
ゆっくりと振り返るタカトの目に、涙をボロボロと流すエメラルダが映る。
タカトは、仕方なくエメラルダの横へ腰をおろした。
エメラルダはタカトの肩へぴたりと身を寄せ、静かに泣いている。
どうしたものかと頭をかくタカト。
冷静にこの状況を整理する。
上半身裸のタカト。
マントを身にまとってはいるものの、どうやら裸のエメラルダ。
そのエメラルダが、タカトへ身を預け泣いているのである。
これはどう見ても、男と女の情事をした後に、急に別れ話でも切り出した非情な男のシチュエーションである。
やることやったんだから、もう行けよ。
イヤ……そんなこと言わないで……
タカトの脳裏に、ムフフな本のワンシーンが浮かぶ。
――いやいや、俺はまだ、何もしていないって……