絵はアリカ=シュルツェ=ドレッシャー。斧騎士であり天馬騎士。真面目だがはっちゃけたいという気持ちも多分にある女騎士。ロボットアニメと化したアスタルロサ王国からヴァーレンスに亡命。女だし……ね。ロボットアニメに興味ない……。
本編でまだ未登場。多分ギャグ回で出る。まだシリアスという気分じゃない。1つシリアス舞台は残ってるけど、月光の北。つまり地球で言うなら北極。
バレンタインで浮かれている彼女。
プレビュー↓ 植物って根っこで会話してない!? のラスト辺りのシーン。
ミハエルの喉が裂けたように開いた。
「と思っていたのか!」
その叫びは空を引き裂くより先に、彼の左手が牙を剥いた。青白い光が掌の谷間で渦を巻き、森の大気をねじ伏せる。風が逆巻き、足元の落ち葉が裏返って宙を舞う。
「……まずい」
サミュエルは自分の声が遠く聞こえるのを感じた。頭の芯が凍り、指先が勝手に震える。
次の瞬間、光は爆発した。
ミハエルは叫び、黒竜光波を木にぶつける!
青い太い、直径100mくらいの光線がミハエルの左手から打ち出される!
ビシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウン!
ドカァァァァァァァァァァン!
木が木っ端みじんに砕ける。
「よくさ。木切ると祟りがあるとかいうけどさ。木の方が先制攻撃したんだからエネルギー波撃っても正当防衛だよね」
森の中央に、直径森の空がぽっかり開くほどの巨塊が生まれる。木々は音もなく粉になり、衝撃波が地面を這い上がる。土が波打ち、草が焼け、空気が重油の膜になって耳を塞ぐ。
サミュエルは両腕で顔を庇ったが、熱風はコートの裏地を焦がし、髪の毛がちりちりと縮れた。目の奥が白く灼ける。
「……うわああああ!」
誰かの絶叫が遠くで弾けた。風音の合間に、木屑の雨が降る音が続く。ばらばら、ばらばら、と小さな骨を折るような音が森全体を這い回る。
やがて、光が収まった。
煙が立ち上り、焦げた土の臭いが鼻を突く。先ほどまで樹々が林立していた空間に、だけんとした穴が口を開けている。夕陽がその底を赤く染め、まるで巨大な傷口を照らしているようだった。
ミハエルは左手を下ろし、指先に残った光の粒を振り落とした。
「木が先制攻撃したからな。こちらも正当防衛ってやつだ」
声は静かで、まるで冗談を言うように軽かった。しかしその目は笑っていない。底に冷たい穴が空き、そこから何も返ってこない。
サミュエルの膝が笑った。
――正義が、壊れた。
彼は自分の中で何かがずるりと落ちる音を聞いた。天秤の塔で見た星の記憶、崩れゆく均衡、そしてこの一撃。すべてが繋がり、彼の中で「ミハエル=善」という等式が粉々に砕け散る。
「……なんで、だよ」
掠れた声が零れた。答えはない。
空夢風音は立ち尽くした。
両手で口を塞ぎ、息を殺している。瞳が揺れ、睫毛が小刻みに震える。
――信じていたものが、裏切った。
彼女にとってミハエルは「守るべき男」だった。彼は「正しいはず」だった。それが今、森を焼き、木々を木屑に変え、笑っている。
胃の底が冷えた。吐きそうになるのをこらえ、風音は一歩退がる。靴底が枯れ枝を踏み割り、小さな音が響く。それだけで、彼女の心がぱきりと亀裂を入れた。
ブラックヴァルキリーは眉をひそめただけだった。
だが、その静けさは鋼のように硬い。
――戦略が、通用しない。
彼女の頭の中で盤面が再構成される。仮想の駒、予測の手順、読み合い。すべてがこの一撃で吹き飛ばされた。
「……予想外の一手」
低く呟き、彼女は焼け跡を見渡す。煙の流れ、土の盛り上がり、風向き。まだ計算できる、まだ立て直せる、と自分に言い聞かせる。しかし指先が震えるのを止められない。初めて、自分の頭脳が「無力」と言い放つのを感じた。
カーラは拳を握りしめた。
爪が掌を抉り、血がにじむ。痛みよりも、胸の奥が熱かった。
――偶像が、ひび割った。
彼女にとってミハエルは「理想の騎士」だった。清廉、強大、正義。すべてを兼ね備えた存在として密かに崇めていた。それが今、子供のように暴れ、森を焼き、笑っている。
「……違う」
掠れた声が漏れる。
「こんなの、違う……!」
涙が頬を伝うのを感じた。熱く、冷たく、そして何も変えられない。
水鏡冬華は俯いた。
前髪が顔を隠し、表情は読めない。だが、肩が小さく揺れている(笑っている)。
