こんなのを書いています。
例により、海外で先行公開。
https://www.seabell.com/ja/detail/d61e6ude878c73canspg ので、アスタルロサ王国のバトルドール部隊も復活予定です。
この話では、主人公のミハエルはのり食べてるだけです。アリウスもフレッドもまあギャグ要因。
プレビュー↓
「君たちは、補給が途絶えることで恐怖している。だが、本当に恐ろしいのは、補給がないという妄想だ」
「妄想じゃない! 現実だ!」
「いやいや。さっき補給したじゃん。君軍内でいじめられてるの?」
誰かが叫んだ。エウメネスは静かに首を振った。
「現実を知らなければ、妄想は現実より恐ろしい。だが、正確な情報を持てば、恐怖は半減する」
彼は懐から小さな水晶の球体を取り出した。それはヴァーレンス王国で開発された「精神安定装置」だった。
「これは、私の知り合いが作ったものだ。呪禁道の技術を応用している」
「呪禁道?」
「不幸を禁じる術だ。簡単に言えば、心のバランスを保つための仕組みだ」
エウメネスは水晶を高く掲げた。淡い青い光が球体から広がり、ゆっくりと食堂全体を包み込んでいく。
「まず、君たちの緊張を解こう。深呼吸してくれ。大きく息を吸って、ゆっくり吐く」
乗組員たちは半信半疑ながらも、彼の指示に従った。青い光の中で、誰もが同じリズムで呼吸を始めた。
「恐れは、心の隙間に入り込む。だが、正しい呼吸と、明確な情報があれば、そこにはもう恐怖の入る隙間はない」
エウメネスは一人一人の顔を見回した。緊張が少しずつ解れていくのが分かる。
「では、情報の補給を始めよう。君たちが恐れている黒い戦艦について、正確な情報を教えてやる」
彼は空中に指で書いた。光の粒子が集まり、黒い戦艦の立体映像が現れる。
「この戦艦の特徴は三つある。第一に、通常のセンサーでは捕捉できない。第二に、一度に複数の攻撃を仕掛けてくる。第三に――」
エウメネスはわざと間を取った。
「第三に、実はそれほどの脅威ではない、ということだ」
「なんだと?」
砲術長が眉をひそめた。エウメネスは微笑んだ。
「君たちは、見えない敵を想像して恐れている。だが、見えないからといって、必ずしも強いわけではない」
彼は映像を操作し、黒い戦艦の内部構造を表示した。
「この戦艦は、特殊な隠匿技術を使っている。だが、エネルギー消費が極端に大きい。だから、長時間の戦闘は苦手だ」
「本当か?」
通信士が尋ねた。エウメネスは頷いた。
「私はかつて、似たような敵と戦ったことがある。見えない敵は、必ず何かしらのパターンを持っている」
彼は新たな映像を表示した。過去の戦闘記録だ。
「ここ三回の遭遇戦を分析すると、黒戦艦は必ず同じ行動パターンを取っている。まず、補給艦を狙う。次に、混乱した艦隊を個別に撃破する。だが――」
エウメネスは指を一本立てた。
「だが、艦隊が冷静に対処すれば、彼らの攻撃はほとんど効果を失う」
「どういうことだ?」
第三機関士が身を乗り出した。
「簡単な話だ。彼らは、私たちの混乱を前提に戦略を立てている。私たちが冷静であれば、彼らの作戦は崩れる」
エウメネスは水晶の光を強めた。青い光がより濃く、乗組員たちの顔を照らす。
「だから、君たちに教える。恐怖を抑え、冷静に行動する方法を」
彼は一歩前に出た。
「まず、状況を正確に把握すること。次に、可能な対策を検討すること。最後に、最善の選択を実行すること。これだけだ」
「そんな簡単に...」
誰かが呟いた。エウメネスは優しく頷いた。
「難しいことは必要ない。複雑に考えすぎるのが、人を混乱させる原因だ」
彼は通信士の肩に手を置いた。