これ。海外のコンテストに出した作品だけど、ムーンショット2部に組み込む。
海外のサイトは
https://www.seabell.com/ja/author-profile/b2e0727a1f37a2df9eeee06b15319326 こちら。案外日本人も多い。なろう的考えに毒されていないシンガポールのサイト。そりゃあ、日本人だろうが逃げ出す人もいるって。日本の編集者abemaTVのアニメ見てもなろうばかり(ドラえもんがのび太に忠告せず甘やかして終わる話)だし。のび太がどこまでも調子に乗る話見て面白いわけねぇじゃん。
海外のサイトの方が快適度上昇してる。本文に挿絵入れられるし。
で、プレビュー↓
書斎の扉が、ためらいがちに開いた。重厚な木製の扉が軋む微かな音が、古い紙と微かに香る茶の匂いが満ちた静寂を裂く。そこに立っていたのは、ミハエルの息子、ラルス=ローゼンベルグだった。まだ少年と青年の狭間にいるその肩は、見えない重圧に押しつぶされそうに丸まっている。
部屋の主であるミハエルは、山と積まれた書類の向こう、柔らかなランプの光だまりの中で顔を上げた。その視線は穏やかだったが、息子の纏う切迫した空気を見逃すことはなかった。
「ラルスか。どうしたん?」
「……父さん」
ラルスの声は、喉の奥でつかえたようにか細い。彼は父親の書斎机まで歩み寄ると、握りしめた拳を震わせながら、絞り出すように言った。
「僕には……才能が、ない」
「片手で地球割れないから? どこかのウ○チつつくのが趣味のロボットのように」
それは告白であり、断罪であり、助けを求める叫びだった。言葉はラルスの内側で何度も反芻され、その度に彼の自尊心を削り取ってきたに違いない。ミハエルはペンを置くと、傍らにあった湯気の立つティーカップを静かに持ち上げた。その所作には、一切の動揺がなかった。
「才能、ねえ」
ミハエルは呟き、一口茶をすする。その諦観にも似た静けさが、ラルスの神経を逆撫でした。
「わたしには、なにもないよ」
その言葉は、まるで世界の真理を告げるかのように、淡々と紡がれた。ラルスの顔から血の気が引いていく。冗談だ、と心が叫ぶ。慰めだとしても、あまりに無慈悲だ。
「嘘だ!」
「嘘じゃないプー」
ミハエルは息子の叫びをこともなげに受け流す。
「事実だ。一つを極めるという才能なら、私の上はいくらでもいる」
彼は指を折りながら、まるで買い物リストを読み上げるように名を連ねていく。
「呪禁道で行けば、そこにいる水鏡冬華。妖力で行けば、桜雪さゆ。剣技であれば現剣魔のアルヴェロ=カルティエ。純粋な力で言うならヘスラー=ヴァイツゼッカーやサリサ=アドレット=ティーガー。美術で言えばギャラリー黒竜開いてるフィオラ=アマオカミ。人心掌握や社交性ならフレデリック=ローレンス。そして、魔法の探求ならアリウス=シュレーゲルが上だ」
一つ、また一つと名前が挙げられるたびに、ラルスの心臓を冷たい手が掴むような感覚がした。それは世界に名だたる怪物たちの名だ。父が、その誰もに劣ると言うのか。
「さあ」
ミハエルは指を折り終え、空になったその手をラルスに向けた。
「これで、私に何がある? 何もないけど?」
そういうミハエルの顔は、明るい。
その問いは、刃となってラルスの胸に突き刺さった。侮辱だ。これほどの男が、自分を「無才」だと言い放つ。それは、その足元にも及ばない息子に対する、残酷な当てつけにしか聞こえなかった。
「嘘だ! 父さんは何でもできるじゃないか! 僕を馬鹿にしてるんだ!」