一番下の絵は水鏡冬華バンドのPV撮影
https://www.seaart.ai/ja/postDetail/d6env9le878c73dq1jcgURLはハチャメチャ4人組(天馬蒼依、アン=ローレン、ユーナ=ショーペンハウアー、ガートルード=キャボット)のダンス。
エスの解法を学ぶラルス=ローゼンベルグ
プレビュー↓
息を吸う。空気が、喉を通り、肺に満ちる。熱い。でも、それが心地よい。目を開ける。池の水面が、今度は揺るがない鏡のように見える。
「……じゃあ、まず……」
声は、まだ震えている。でも、足が動く。一歩、石畳を踏みしめる。靴底が、石を鳴らす。小さな音だ。でも、それが、自分の鼓動に重なる。
「僕が、最初に禁止したいのは……」
言葉が、こみ上げる。喉が、熱い。でも、続ける。
「……自分の弱気です」
ミハエルの眉が、ぴくりと動く。ラルスは、息を吐く。震えが、少しずれていく。
「弱気が、僕を動かさない。弱気が、僕の手を縛る。だから、まずそれを……禁止します。僕は、怯えて、立ち止まらない。一歩でも、前に出る」
虫の声が、再び近づいてくる。風が、木々を揺らす。葉と葉が擦れ合う音が、さわさわと響く。
サリサが、小さく息を呑む。銀の髪が、肩を滑り、胸に落ちる。赤と金の瞳が、細められる。唇の端が、ゆっくりと持ち上がる。
「……なるほどね」
ミハエルは、短く呟いた。それから、にこりと笑む。大きく、うなずく。
「生き延びるということにおいては弱気も必要だけどね。――じゃあ、次はどうする?」
問いかけに、ラルスは、もう一度、息を吸う。胸の灯が、揺らめきながら、決して消えない。足が、もう一歩、前に出る。
「……次は、父さんの背中を追いかける。まだ、小さな一歩でも。でも、確かに、僕の足で」
ミハエルは、手を伸ばす。ラルスの頭を、ぐしゃりと撫でる。黒い髪が、指の間から零れる。
「あのねーわたしがやった間違いを起こしてるなー。わたしも最初母さんみたいになろうとしてドツボにはまってしっちゃかめっちゃかになったのよ。人の影を追いかけるって言うのはあまり――」
「よし。いいんじゃない?」
「おいおい」
ミハエルのツッコミを無視して、サリサが、ぽん、と手帳を閉じる。白いしっぽが、ふわりと広がり、また縮む。彼女は、一歩、二人に近づく。
「……覚えておいて、ラルスくん」
声は、低く、柔らかかった。いつもより、少しだけ、熱を帯びている。
「あなたの弱気を禁止した呪は、もう、あなたの中で動き始めている。――だから、もう、後戻りはできないよ? 自分で解かない限りね」
ラルスは、瞬きをする。蝉の声が、一瞬、遠のいた。風が、止む。世界が、静けさに包まれる。
「……うん」
小さく、でも、確かに、ラルスは頷いた。足が、石畳を踏みしめる。靴底が、微かな音を立てる。それが、彼の最初の一歩だった。