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補給の帝王エウメネスでも荷が重い

絵は空夢風音。
リンクも空夢風音がしゃべってる。
https://www.seaart.ai/ja/postDetail/d4sduk5e878c73c2hgn0
ギャグ空間に耐えられず暴れる風音
https://www.seaart.ai/ja/explore/detail/d4sjqkle878c73ei3330


方言不良がエウメネスに方言で襲い掛かる展開のプレビュー


「ああん? 要求ぅ? そげんこつじゃなか! おいらはただ、ミハエルに一発、気合の拳ば入れたかとだけじゃ!」

「せやけぇ、あんたが邪魔なんじゃ、分かっちょるか?」

「汝、去無。然則、天罰覿面」

「τカゝ、言舌、長<Йё? 無王里、テ寺τナょレヽωナニ゛(ナ└⊂゛」

「……仏恥義理……」

「じゃから、そこをどかんかい、言うとるんじゃ、ワレが!」

 六つの異なる方言、六つの異なる論理、六つの異なる宇宙から放たれた言葉の奔流が、一斉にエウメネスへと襲いかかった。

 その瞬間、天才書記官エウメネスの意識は、真っ白な光に包まれ、静かに闇へと沈んでいった。彼の最後に聞こえた言葉は、薩摩の男が放った、あまりにも理不尽で、あまりにも哲学的な、あの一言だった。

「魚んいきが、よかど!」

 どうして、今、魚の話なのだ。その問いに答える者は、この世界のどこにもいなかった。
 エウメネスの意識は、真っ白な光の中にいた。あらゆる論理、あらゆる文法、彼がその知性の生涯をかけて築き上げてきた『言葉』という名の神殿が、意味不明の槌音によって根底から崩壊していく幻覚。柱は砕け、壁は崩れ落ち、彼の思考は瓦礫の下で身動きが取れずにいた。そして、その崩壊の中心で、まるで宇宙の真理であるかのように、ただ一つのフレーズが永遠に鳴り響いていた。

『魚んいきが、よかど!』

 その言葉が、彼の最後の、そして最も理解不能な、この世界からのメッセージだった。彼の精神は、その不可解な啓示の重圧に耐えきれず、完全に機能を停止した。

「……知性が……完全に、ショートしている……」

 ブラックヴァルキリー・カーラが、その漆黒の翼をわずかに震わせながら、冷静に分析する。

 広場の真ん中で、エウメネスは微動だにしない。魂の抜けた人形のように、その知的な瞳は焦点を失い、ただ虚空を見つめている。彼の口は半開きになり、かつて古代帝国の運命を左右する言葉を紡いだ唇は、今はただ無意味な音を受け入れるだけの器と化していた。

 目の前の惨状に、不良グループのリーダーである赤髪の男は、下卑た笑みを浮かべた。その表情は、壊れた玩具を見つけた子供のそれによく似ていた。

「なんじゃ、こん兄ちゃん、呆けとるんか? ミハエルが出てこんのじゃったら、わしらがちぃと遊んでやらんといかんのぅ!」

 男たちが、値踏みするようにじりじりとエウメネスに詰め寄ろうとした、その時だった。

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