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世界よりも大きな蛇

 変な気候。今日は、秋の気温になってるのに無理矢理熱くしてる感じ。電気ビリビリ。夕方になっていきなり冷えてきた。気象改変兵器。ベトナム戦争で条約で禁止された。
 絵は手前はミハエル、と東雲波澄。奥は空夢風音とサリサ=アドレット=ティーガーとフィオラ=アマオカミ。
 プレビュー↓


 でも、ヌアザ様」
 エウメネスが急に興味深そうに前に出てきた。
「せっかくですから、ケルト神話についてもう少し教えてください」

「ケルト神話?」
 ヌアザが首をかしげた。
「何が知りたいのだ?」

「ゲッシュについてです」
 エウメネスが目を輝かせながら言った。
「ケルト神話特有の誓約や禁忌について」

「おお」
 ミハエルが興味を示した。
「ゲッシュって何だたっけ?」
 知らないフリして情報を聞き出す。
 ミハエルの常套手段だった。
「ケルトの民が自分に課す誓約のことです」
 エウメネスが説明した。
「これによって強大な力を得るが、破ると神でも一気に死に至ることもある」

「死に至る?」
 天馬蒼依が驚いた。
「こわ。そんな危険なものなの?」

「ゲッシュとは」
 ヌアザが重々しく答えた。
「神や英雄が持つ宿命的な禁忌だ。それを破ることは死を意味する」

「宿命的な禁忌」
 フィオラが興味深そうに聞いた。
「具体的にはどのようなものですの?」

「例えば」
 ヌアザが考えながら答えた。
「『白い獣を殺してはならない』や『三度断られた要求は受け入れてはならない』などだ」

「三度断られた要求」
 ブラックヴァルキリー・カーラが翼をひらめかせながら言った。
「それって先ほどの話と関係があるのか?」

「ああ」
 ヌアザが頷いた。
「我らトゥアハ・デ・ダナーンが人間に敗れたのも、実はそのゲッシュが原因だった」

「どういうことですか?」
 オリュンピアスが身を乗り出した。

「ミレシアンが三度要求したのだ」
 ヌアザが重々しく語り始めた。
「『土地を譲れ』『宝物を渡せ』『王女を差し出せ』と」

「三度の要求」
 エウメネスが感心した。
「それで神々は応じざるを得なくなった」

「そういうことだ」
 ヌアザが苦々しい顔をした。
「ゲッシュに縛られた我らは、三度の要求を拒むことができなかった」

「でも」
 ヘラクレスが首をかしげた。
「なぜそんな不利な誓約を?」

「ゲッシュは力の源でもある。ゲッシュがあるとないとでは力は遥かに違う」
 ヌアザが答えた。
「制約があるからこそ、それを守る限り超常の力を得られる」

「リスクとリターンってやつですね」
 ユーナ=ショーペンハウアーが納得した。
「でも結果的に弱点になってしまった」

「そうだ」
 ヌアザが悔しそうに呟いた。
「我らは自らの誓約によって滅ぼされた」
 その時、空間の裂け目がさらに広がった。
「おお!」
 エウメネスが突然興奮し始めた。
「この気配は! まさか!」

「どうしたエウメネス? さっきとテンション違うが」
 ミハエルが聞いた。
「新しい神話の存在が来る!」
 エウメネスが嬉しそうに叫んだ。
「この機会に別の神話体系について学べるかもしれない!」

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