今海外サイトで執筆中の骨董品物語で出した競り場。
やはり、美術品等や骨とう品を(物語で)扱うとなると、出てくる。
イメージとしては某ゲームのトレード。あれを企業買収じゃなくて骨董品の競りでする。
貨幣経済は意図的に形骸化させ、魂の欠片で取引というヴァーレンス王国だから、こういう競売はみんなタガが外れるという仕組み。金全部なくなっても衣食住全部魔法で生み出せるから。
でも金は偽造禁止。ヴァーレンス王国でも。金貨偽造を見破る専門のウィザードが働いている。
プレビュー↓
「本日はお集まりいただき、ありがとうございます! 第325回ヴァーレンス国際珍しいもの取引場を開催いたします!」
観客から拍手が起こる。フィオラたちは空いている席に腰を下ろした。
「最初の品物は……なんと! 竜の鱗で作られた、万能薬の器!」
司会者の声に、観客がどよめいた。スクリーンには、美しく装飾された小さな器が映し出されている。
「この器に入れた薬は、どんな病気でも治すと言われております! 開始価格は、5000000ウサギ!」
「高い……」
リアナが呟いた。
「でも、竜の鱗って、フィオラさんの……」
「あら、私の鱗とは違うわよ。あれは別の種類の竜ね」
フィオラは興味なさそうに言った。
競売は順調に進んでいった。骨董品、美術品、珍しい魔導具が次々と出品され、高値で落札されていく。
「次の品物は……おお! これはレアものです!」
司会者の声が急に高ぶった。
「サンダーバード召喚のオカリナ! 伝説の雷鳥を召喚できると言われる、このオカリナは、古代の魔導士によって作られたものです!」
スクリーンには、銀色に輝くオカリナが映し出された。細かい彫刻が施され、雷を思わせる模様が描かれている。
「ほう……」
フィオラの目が輝いた。
「これは面白そうね」
「すごいものなんですか?」
リアナが尋ねた。
「そうね。別に召喚しなくても、ただ持っているだけでも価値があるわ。材質はよく分からない金属でできているし、工芸品としても優秀よ」
「フィオラ、それ欲しいの?」
カーラが尋ねると、フィオラはにやりと笑った。
「ちょっと金詰み上げるゲームに参加しようかしらね」
「牛肉買うのか?」
カーラが真顔で尋ねた。
「んなわけないっしょー!」
フィオラは半眼でカーラを見た。
「このオカリナ、どれくらいの価値があるんですか?」
リアナが尋ねる。
「さあね……金に換算すれば、最低でも20000000ウサギはするんじゃないかしら。でも、競売ならもっと高くなるわ」
司会者が続けた。
「開始価格は、金800ウサギ! では、始めます!」
「8500000!」
「9000000!」
「10000000!」
次々に手が上がっていく。
「フィオラ、出ないの?」
カーラが尋ねた。
「まあ、様子見よ。最初から飛びつくと、相手に本気度を悟られてしまうわ」
フィオラは落ち着いた様子で観察していた。
価格はどんどん上がっていき、ついに1800ウサギまで達した。
「18000000! 他にいきませんか?」
司会者が壇上で叫んだ。
「いいわよ、そろそろ」
フィオラがそっと手を上げた。
「20000000!」
「おお! 20000000ウサギ! この方が20000000!」
観客の視線がフィオラに集中した。
「わたしはポップコーン食べながら見てるぞ。がんばれフィオラ!」
カーラが楽しそうに言った。
「あーあーはいはい、てきとーに競り落とせるようなら競り落とすわよ」
フィオラは苦笑いしながら答えた。
だが、他の入札者も諦めない。
「22000000!」
「25000000!」
価格はさらに上がっていった。
「フィオラ、まだいける?」
リアナが心配そうに尋ねた。
「もちろんよ。でも、これ以上はちょっと……」
フィオラは考え込んだ。
「司会者!」
フィオラが声を上げた。
「この競り、一時停止をお願いしたいわ」
「え? 一時停止?」
司会者が戸惑った声を上げた。
「はい。私、もう少し資金を調達したいの。時間をください」
観客からざわめきが起こった。
「これは異例の申し出! しかし、ルールでは認められています!」
司会者が告げた。
「10分間の一時停止! その間に、より多くの金を用意してください!」
フィオラは立ち上がった。
「リアナ、カーラ、手伝ってちょうだい」
「はい」
リアナは素直に頷いた。
「えーポップコーン食べられないではないか」
カーラは不満そうだ。
「ええい、後でいくらでも食べられるでしょ!」
フィオラが言った。
三人は会場を出て、ロビーに移動した。
「さて、どうするの?」
カーラが尋ねた。
「実は、私、ちょっとした品物を持ってきているの」
フィオラがバッグから、小さな箱を取り出した。
「これは……」
リアナが中を覗き込むと、そこには美しい宝石が入っていた。
「これを換金すれば、もう少し戦えるわ」
「でも、これ、大切なものなんでしょ?」
リアナが尋ねた。
「まあね。でも、あのオカリナはそれ以上に価値があると思うの」
フィオラは微笑んだ。
「わかった。じゃあ、私たちで協力して、山のように金を積み上げてやろう」
カーラが言った。
「ありがとう。じゃあ、まずは私の宝石を換金してきて。リアナ、兌換所に行ってちょうだい。カーラは、翼で飛んで私のギャラリーに在庫してある品物を持ってきて」
「了解した」
カーラは翼を広げた。
「わたし、空を飛んでいけば、すぐに戻ってこれる」
「ありがとう。リアナは、私と一緒に兌換所に行きましょう」
三人はそれぞれの任務に向かった。
リアナとフィオラは、取引場の地下にある兌換所に向かった。
「すみません、この宝石を換金したいのですが」
フィオラが窓口で言った。
「これは……素晴らしい宝石ですね。金15000000ウサギでいかがでしょう」
「15000000……まあ、仕方ないわね」
フィオラは頷いた。
一方、カーラは空を飛び、フィオラのギャラリーに向かった。
「よっ、開店してないみたいだな」
カーラは勝手に入っていき、倉庫を探した。
「これと……これと……あ、これもいいか」
彼女はいくつかの美術品や骨董品を選び出した。
「これらを売れば、かなりの金になるはずだ」
カーラは品物を抱えて、再び空を飛んだ。
10分後、三人は再び取引場に集合した。
「どうだった?」
フィオラが尋ねた。
「私の方は、合計金35000000ウサギになったわ」
リアナが報告した。
「私も、ギャラリーから品物を持ってきた。これらを売れば、あと20000000は稼げるはずだ」
カーラが言った。
「ありがとう。じゃあ、もう一度挑戦しましょう」
三人は会場に戻った。
「再開です! サンダーバード召喚のオカリナの競り再開!」
司会者が叫んだ。
「30000000!」
フィオラが最初に手を上げた。
「おお! 30000000! さらに上がりました!」
他の入札者も負けじと手を上げる。
「35000000!」
「40000000!」
価格はさらに上がっていった。
「フィオラ、まだいける?」
リアナが尋ねた。
「もちろんよ」
フィオラは冷静に答えた。
「50000000!」
フィオラが再度、手を上げた。
会場がどよめいた。
「50000000! 50000000ウサギ! 他にいきませんか?」
司会者が興奮した声で叫んだ。
だが、他の入札者は沈黙した。
「50000000、1回!」
「50000000、2回!」
「50000000、3回! 成約!」
ハンマーが打ち下ろされた。
「フィオラさん、やりましたね!」
リアナが喜んだ。
「やったではないか」
カーラも笑顔でフィオラを見つめた。
「まあ、予算オーバーだけど……」
フィオラは苦笑いした。
「でも、良い品物を手に入れたわ」
スタッフがオカリナを持ってきた。フィオラはそれを手に取り、仔細に観察した。
「なるほど……これは本物ね。古代の工芸品としても、十分に価値があるわ」
「サンダーバード、実際に召喚できるの?」
リアナが尋ねた。
「さあね? 試してみれば分かるけど……まあ、別に召喚しなくても、これだけで十分に価値はあるわ」
フィオラは満足そうに言った。
「さて、今日はこれで終わりにしましょう。帰って、ゆっくりこのオカリナを鑑賞するわ」
三人は取引場を後にした。
外に出ると、夕暮れの空が広がっていた。
