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『アガルタのイオリ』第118話 神曲崩壊とダンテの神曲

今回のエピソードのタイトル「神曲崩壊」は山田風太郎の小説から拝借しました。

地球は核兵器によって滅亡する。
核が爆発した瞬間、世界で唯一『神曲』を読んでいた人物山田風太郎は神曲の作者ダンテに招かれ、ダンテが創造し、核兵器によって崩壊した地獄をともにめぐる。
新たに生まれた地獄には80年代当時のスターが勢ぞろいし、さまざまな奇態を見せていた……

コメディ色の強い作品で、かなり尾籠な描写もあります。
80年代という時代のカラーも強く出ていて、とくに核兵器に対する恐怖に時代を感じます。
核兵器や核戦争に対する恐怖は80年代がピークでした。

今回のエピソードでケルベロスとの戦いは決着がつきますが、ダンテの『神曲』にもケルベロスが登場します。
ダンテは地獄の第三圏でチェルベロ(ケルベロス)と出会います。

三つの喉をもつ猛く異様な怪獣チェルベロは、水びたしの亡者たちに向かい、犬のように吼えしきる。
その眼は赤く、髭は黒々と脂ぎり、腹ふくれ、手には鉤爪があって、亡者たちをひっつかみ、皮を剥ぎ、八つざきにする。
(神曲地獄篇 集英社文庫)

引用したのは寿岳文章の伝説的な名訳ですが、引用した文中に「怪獣」の二文字があります。
寿岳が神曲を訳したのは1970年代ですが、その少し前ならここは「怪物」と訳したと思います。

「寿岳文章もゴジラやウルトラマンを見たのかな?」

そんなことを考えて、自分はちょっと楽しくなりました。

『アガルタのイオリ』第118話 神曲崩壊
https://kakuyomu.jp/works/16818622176421206781/episodes/16818792439849132621

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