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『アガルタのイオリ』第81話 東条英機の戦陣訓

今回女盗賊アンナ・レンブラントが、自分たちの団員を戒めるために作った戦陣訓が登場します。
内容や表現はいたってシンプルで

「逃げ道を確保しろ。
地の利をわきまえろ。
その場でいちばん強い敵を見極めろ」

というのが怪物団の戦陣訓です。
シンプルですがどれも命にかかわる教訓で、劇中でもそうなっています。

ユーチューブに東条英機が読む戦陣訓があったので聞いてみましたが、こちらは言葉が難しすぎます(苦笑)。
むかし陸軍の入軍試験を受ける学生向けの参考書を読みましたが、これも「言葉が難しすぎる」と思いました。
内容が難しいから言葉が難しくなっているというより、「わざと」難解な言い回しを使っていると感じました。
無駄な漢語表現が多すぎるとも思いました。

それが「なぜ」なのかはわかりません。
英国のチャーチル首相が、戦争の帰趨を左右する日本海軍の重大な作戦が次々中止になったのは
「あまりにも複雑な日本語のせい」
といっていましたが、ただでさえ複雑な日本語を、軍はさらに複雑にしていると思いました。

自分は小説を書く人間なので
「どれほど高尚なことをいっても伝わらなければ意味がない」
と考えます。
しかしこの難解な言い回しにも、きっと陸軍なりの理由があるのでしょう。
ただ難解な戦陣訓にあって、はっきり意味がわかる有名な一節があります。

「生きて虜囚の辱めを受けず」

戦場で生きて捕虜となるような恥知らずな真似をするな=死ぬまで戦え、といった意味の一文です。
この有名な文章が戦場の倫理となり、多くの兵士や民間人を死に追いやりました。
その事実に戦慄を覚えます。
昨日の京極夏彦さんも仰っていましたが、言葉とはおそろしいものです。

戦陣訓(東条英機が読む)
https://www.youtube.com/watch?v=00rf1FIp5yI

『アガルタのイオリ』第81話 女盗賊アンナ・レンブラント
https://kakuyomu.jp/works/16818622176421206781/episodes/16818792437812300987

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