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『アガルタのイオリ』第82話 嘉納治五郎と『姿三四郎』

今回マリア・バタイユが
「神力善用」
と称して神業を披露します。
これは講道館柔道の創始者嘉納治五郎がいった
「精力善用」
から思いついた造語です。

「精力善用」は柔道の根本理念だそうですが、すいません、自分は柔道を全然知らないので解説できません。
柔道は知りませんが嘉納治五郎は熊本五高の初代校長で、自分は熊本の人間なのでそこらへんに親しみを感じます。
また嘉納が校長時代、英語教師として赴任したのが夏目漱石というのもうれしいエピソードです。

柔道小説『姿三四郎』に嘉納治五郎も登場します。
劇中嘉納の名前は矢野正五郎で、主人公姿三四郎の師匠が矢野です。
物語の序盤はほぼ矢野が主役です。
矢野は現実の嘉納と同じ帝大出のクールなインテリで、丹下段平のようなスポコンものの熱血指導者とはだいぶキャラがちがいます。

『姿三四郎』は元祖マーシャルアーツ小説というべき傑作です。
有名な空手家桧垣兄弟との決闘をはじめ、ボクサーや忍者との対決もある楽しい小説で、もっと評価されるべき作品と常々思っています。
ライトノベルへの影響も多大なものがあると思います。
またヒロイン乙美と三四郎の淡い恋愛もいいです。
とくに二人の出会い、履物の鼻緒が切れ、困っている乙美を三四郎が助ける場面は名場面です。

小雨の中、三四郎は自分の手ぬぐいをちぎって乙美の鼻緒をすげ替える。
片足で立っている乙美に「ここに手を置きなさい」と三四郎はしゃがんで鼻緒を替えながら自分の肩を差し出す。
乙美は三四郎の肩に手を置き、三四郎が雨に濡れないよう傘を差し出す……
明治という時代背景とあいまって、ちょっとありえないほどロマンチックでよくできた名場面です。

自分が子どものころ竹脇無我さん主演の姿三四郎のドラマをよくテレビで見ましたが、映画版もあるとは知りませんでした。
なんとユーチューブにそのフルムービーがアップされていました。
いい時代です。
お暇なかたはぜひ。

姿三四郎:竹脇無我
https://www.youtube.com/watch?v=G0JM_flHF0E

『アガルタのイオリ』第82話 炎
https://kakuyomu.jp/works/16818622176421206781/episodes/16818792437880220265

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