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『雨と泥と、曇天から差す光』あとがきにかえて。

 どうもこんばんわ、来月末からの中央競馬・夏の新潟開催が待ち遠しい川中島ケイです。騎手も馬も超一流どころは来ないとはいえ、目の前で競馬が繰り広げられる迫力が堪らないのですよね♪

 さてさて、1万字強の競馬短編『雨と泥と、曇天から差す光』が昨日、完結いたしましたのであとがき的ななにかです。


 この物語は書き始めた時の近況ノートで申し上げた通り、今年のダービーを勝ったクロワデュノールとその鞍上、北村友一騎手の実話を基にして書き上げたものです。

 競馬を題材にした物語としては昨年5月~6月に本編を書き上げました架空のストーリー
『Re:bright  ~もう一度、輝くために。崖っぷち騎手とある馬の物語~』

 https://kakuyomu.jp/works/16818093076658892450


 というものを既に書き上げていたのですが、その一年後にまさかこんなにもドラマに満ちたダービーが待っていたとはその時は全く思いもしませんでした。

 騎手歴13年目でようやく掴んだスターホースの相棒の座から一転、死んでいてもおかしくないぐらいの落馬による大怪我でその座から降りざるを得なかった男が、必死でもがいた末に同じ馬主・同じ調教師とのチームで4年ぶりのG1勝利を掴み、その馬と共にダービージョッキーという騎手最高の栄誉を手に入れる。そして秋にはクロノジェネシスと挑めなかった凱旋門賞へ挑戦する(ここはあくまでまだ未定ですが……)

 いやもうフィクション以上にドラマじゃないかっ! こんなの競馬ファンとして書かないでいられるかっ!

 となったワケです。まあ実際の北村騎手は感情の起伏が薄いというか、淡々とストイックに為すべきことを為していくタイプのようで(インタビュー記事などを読む限りは)本作のように悔しさや感慨を表に出すタイプではないので、脚色させていただいた部分は多いですが……

 でもきっと、ホープフルステークスで4年ぶりのG1を勝利した瞬間に思わず泣いてしまった彼の胸中を思えば、人前には出さない葛藤や悔しさやそういうものが幾つもあって、それがようやく報われたんだなって、そう思ったのです。


(毎回ながら勝手に)エンディングテーマ
 amazarashi 『1.0』Music Video feat. チ。
 https://www.youtube.com/watch?v=oG9LOE_t3H4

 この曲は地動説を描いた漫画『チ。』の作者との間で作られた曲なので作曲者である秋田ひろむさんが考えるテーマは多分違うのですが……

 日本ダービーでの北村友一騎手のジョッキーカメラで、出走したほぼ全騎手から祝われながら大観衆の前に戻る光景とこの曲を合わせて再生した時、涙が出るくらい感動したのです。

 【ジョッキーカメラ】クロワデュノール騎乗の北村友一騎手ジョッキーカメラ映像|2025年日本ダービー
 https://www.youtube.com/watch?v=uNimjun8mAM&t=230s



 努力しても報われなかったり、間違った事がまかり通ったまま希望も持てないでそれでも生きていくしかないこの現代。

 「何を頑張ったって変わるワケないじゃん、無駄」「どうせ何やっても変わらないだろ?」とか「だったら架空の話に逃げ込んで現実なんか見ない方がよっぽど楽だわ」と思ってしまったり、そんな世界からさっさと消えてしまった方が楽かな、って思ってしまう人もきっと多いんじゃないかなって思います。私もそんな一人です。

 だけど、この世界から飛び降りる理由も、なんとか踏みとどまる理由も紙一重の僅かな差でしかないのだとしたら。

 こんな拙い一般人の書いた話や紹介していた曲が「そういえば架空の話だけど、こんな話もあるんだっけ?」って誰かの、踏みとどまってみようって思える微かな希望に成れるのであればこれ以上の事はありません。

 そう願いながら、私はこれからも現実の中で僅かな希望を追いかけるような物語を、描き続けていきたいと思っています。

 ではまた、次回作でお会いしましょう。

          2025年6月20日 川中島ケイ

2件のコメント

  • 完結おめでとうございます。

    踏みとどまる方に背中を押すことができる小説が書けたらなあ。そう思います。
  • 三奈木さま、コメントありがとうございます。

     私も偉そうな宣言をしたところで、そんな作品を書けているかと言われたら多分、まだそんな御大層な感動作品を書けているとは思えません。一緒にそういうのを目指しましょうっ!
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