毎度お読み頂き、有難う御座います。
ちょっと日が経ちましたが、東宝特撮でのフランケンシュタイン2作について。
先にお話しした、アメリカのUPA社。東宝特撮のアメリカの配給権を持つ会社です。そのプロデューサイ、ヘンリー・サパースタイン氏によって、よりアメリカで受け入れられやすい怪獣映画と言う事で「フランケンシュタイン対ゴジラ」が企画されますが、怪奇映画にゴジラはそぐわないとして新怪獣バラゴンの登場となりました。
異世界では先にウルトラマンっぽいヒーローが活躍しましたが、現実ではこのフラバラがあって、その躍動感あふれる格闘が「ウルトラマン」として結実しました。バラゴンを改造したネロンガもバラゴンジャンプを披露してましたし。
怪奇映画ムードから、山奥の閉ざされた空間での怪獣決闘。何もできない自衛隊。
それまでの怪獣映画とは異なる怪奇ムードの中で、激しいアクションの末、フランケンシュタインもバラゴンも突如起こった謎の地盤沈下の中に消えて終わります。
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なお、どうでもいい話。
一部マニアの間では、
「フランケンシュタインがバラゴンを持ち上げたまま沈むのを見た」
という話が未だに囁かれています。
特撮セットのスケッチにも、現存するネガ、プリントにもそんなシーンはありません。
もしかしたら、持ち上げるカット=海外版用に撮影され結局海外版で使用されなかった大ダコ出現版の導入部分に、急遽国内版の地盤沈下ラストが足されたバージョンでもあったのではないか、と勝手に推測します。
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さらにどうでもいい話。
一般にフランケンシュタインと呼ばれる、額の出っ張った怪人。
フランケンシュタインはこの怪人を生み出した科学者で、この怪人自体には名前がありません。
原作者のメアリー・シェリーは舞台化の際にこの怪人の名前が空欄だったことを高く評価しています。彼は基本的に名無しなのです。
異世界で「プロメテの息子」「プロメテの末裔」と題したのは、異世界でも神の世界から文明を持ちかえったプロメテウスみたいな神話があって、メアリー・シェリーの原作のタイトル、「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」から採ったものです。
異世界にフランケンシュタイン博士いませんので。
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そして次作「フランケンシュタインの怪獣サンダ対ガイラ」。
キャストもヒロイン水野久美以外は変更、人物設定も変更して、続編の様で続編ではない、「モスラ」と「モスラ対ゴジラ」以降の様な関係で、「姉妹編」と言われています。
設定をギッチギチにしてしまうと過去のアレコレはどうなんだと本筋と関係ない部分が娯楽の足を引っ張りますので、「別の時間軸」とかいう過去の話を無かった事や新しい話との関連性を理屈で断ち切ってしまうよりは潔いかと思います、個人的に。
最初はフランケンシュタインの分身同士が争い、時に人間を食べる描写もあったり結構ホラー寄りだったのですが、
「インパクトに欠ける」
と本多猪四郎監督が決定稿の後に書き足して、「怪獣大戦争」のAサイクル光線車を改造して登場させたのが、サンダ、ガイラに並ぶ第三の主役、メーサー殺獣光線車、略してメーサー車。
マイクロウェーブ派を使ったのは「メーザー」、東宝のは「メーサー」。
前半は暗い雰囲気の中ひたすらダークな世界、後半いきなりはっちゃけて大戦争…「ファイヤーフォックス」かな?
それはさて置き、このメーサー車、ムチャクチャカッコエエ。
Aサイクル光線車も中々恰好良かったし、怪獣大戦争マーチと同時に攻撃する所はもうイケイケだったものですけど、キップ・ハミルトンのパンチラキャンセル直後田崎潤登場からの戦争映画ムーブは、70年代後半の名画座でメーサー車登場時に拍手が沸き起こる程マニアを狂喜させました。
改造途中のミニチュア、改造済のミニチュアが「ウルトラマン・宇宙から来た暴れん坊」で登場した場面に喜んだ人も多かったでしょう。
大型モデルは「地球攻撃命令ゴジラ対ガイガン」で爆破され、半分朽ち果てた姿が80年代前半の「アマチュア特撮連合大会」で展示されて多くの特撮ファンを魅了したのも良い思い出です。
サンダとガイラの取っ組み合いっぷりが海外に与えた影響は色々語られていますので割愛しますが、確かにミニチュアの中すさまじい殺陣を演じています。
サパースタイン氏との協業はいったんここで終了。
海外合作路線はアニメ会社「キングコングの逆襲」、そして戦前に遡るドラマ「緯度0大作戦」と続くことになります。
…これ、作品解説になってるのでしょうか?