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念のため「マイティジャック」について。

 いつも本作をお読み頂きありがとうございます。

 劇中ではスプラシリーズ第5作として「スプラ・イントレピド(超恐れ知らず)」として巨大ヒーローも怪獣も出ないスパイ&超兵器戦争が製作されています。

 そのモデルとなった作品は、TBS、タケダアワーとは無関係な作品です。
 昭和43年、フジテレビで夜8時から放送された1時間番組、提供はサントリー等大人枠。
 製作費一本1千万円という当時破格の予算で製作されたSFメカニックスパイアクション超大作、「マイティジャック」、略してMJです。
 知っている人には常識で、ご存じない方には「何それ」という作品です。

 昭和42年生まれの私も、53年のLPレコード出版と今井科学のプラモ再販でその存在を初めて知り、宇宙戦艦ヤマトより遥か昔にメカ戦特撮が存在した事に、そして主題歌のメチャクチャカッコよさに痺れ捲って、当時1800円?のビッグマイティ号をエアスペリオリティブルーに塗りまくって作ったものでした。
 誰だよあのインチキ塗装ガイド作ったヤツ。

 LPレコードの解説に書かれた解説、そしてほぼ同年代に発売された「月刊OUT1月号増刊ランデヴー」というムック本。表紙は勇者ライディーンのどアップにプリンスシャーキンという当時のお姉様向け、その左下にちっちゃくMJ号。
 しかし中身はほぼMJはじめ海底軍艦やジェリー・アンダーソンのサンダバーズ等の特集。
 まだこの頃はITC作品という変な呼ばれ方をしていましたが。

 TV特撮と言えば巨大ヒーローと怪獣が戦うもの、という常識の中で(先述のサンダバーズもとい「サンダーバード」や「宇宙大作戦スタートレック」始めとする海外作品は別物と認識してました)その後の特撮ブームの中で「マイティジャック」の詳細がSF特撮季刊誌「宇宙船」等でも詳しく解説される様になりました。

 それらで説明された「大人向け1時間SF特撮番組」「製作費1話1千万円」という心躍る煽り文句、写真に写るMJ号のカッコよさ、反面「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」、そして「スターウォーズ」の洗礼を受けた者としてはイマイチ垢抜けていない、でも捨てきれない懐かしさを纏いつつ、巨大ヒーローも出ない番組という存在そのもに強く憧れました。

 更には、敵の巨大な敵艦、銀と黒の縞模様に青いアクセントが入る飛行潜水艦ホエール、空中空母レイブン、ウルトラホークみたいにカッコイイ戦闘機スワロー、フライングスカイラル、更に黒銀塗装ではない敵万能戦艦ジャンボー、巨大空母クラッチャー。MJ号に負けないカッコイイ敵艦にも憧れました!

 たまたま近所の公共施設で中央大学の特撮サークル様が「ウルトラQ・カネゴンの繭」「快獣ブースカ・地底戦車で探検」、そして「戦えマイティジャック・マイティ号をとりかえせ(後編)」を上映すると知って、風邪ひいて雨の中ダッシュで向かって福祉会館の便所で死にそうになりつつ気合で復活し、大興奮して鑑賞し、家に帰ったら風邪も治ってました。

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 そんな思い出深い「マイティジャック」ですが、先の「ランデブー」でも指摘されていましたが、結論から言えば失敗作でした。

 試写会の製作第一話「S線を追え」が大変酷評で、円谷英二も「金城哲夫が未熟だった」と他人事の様に投げ出す有様。まあ、主題歌もBGMも全然間に合わなかったし。主題歌や攻撃BGMがあっただけでも全然違ったんじゃないかと思います。

 そして第一話が視聴率13%。平均視聴率がヒトケタ台。
 内容も色々な評価がありますが、やはり1時間枠という不慣れな配分と、SF特撮を理解できていない(と言われる)脚本、演出のノリが悪いのか、或いは「ランデブー」の中島伸介氏の評価が、書籍を神格化する当時の特撮ファンのスタンダートになってしまったのか、まあヒドいものでした。

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 個人的には中島氏が酷評した「爆破指令」なんて傑作だと思いますし、「祖国よ永遠なれ」「熱い氷」の柳瀬観監督作品なんか「映画か?」って迫力ありますし。
 色々間延びしてしまった「月を見るな!」なんかももっと切り詰めれば特撮大作として純粋に楽しめたんじゃないか、と色々思えます。

 致命的に思えたのは、メカもメカ戦も嫌いな大木淳監督を円谷英二が推していて、メイン特撮監督たる大木監督がこの企画にどこまで乗り気だったのか、という点です。

 第一話の「パリに消えた男」や「燃えるバラ」とか、どこまで本気かよ?と疑うレベルでしたし。
 でも「K52を奪回せよ!」とか「戦慄のオーロラ」とかはスゴかった、特に後者の氷塊の中でのエンジン噴射シーンとか。

 結果として1クール13話で打ち切り、しかし巨額を懸けた作品であり、30分枠子供向けに変更して「戦え!マイティジャック」としてもう2クール続けられる事となりました。
 しかし裏番組が人気絶頂の「巨人の星」ということもあり、鳴かず飛ばずで終わってしまいました。

 誰が見ても傑作と思える「マイティ号を取り返せ!」前後編や最終回「希望の空へ飛んで行け!前後編もあるんですが、「亡霊の仮面をはぎ取れ」「東京タワーに白旗を上げろ」「ハプニング島へ進路をとれ!!」とか、もうナンダコレみたいな珍作もあって、なんとも。

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 これは多々意見があるとは思いますが、そもそも万全の体制の中「Q」「マン」「セブン」を成功させた功労者たる金城哲夫に、「秋開始の予定が春開始になったからね」と準備期間をごっそり削った悪条件を突きつけたフジテレビと、それをそのまま持って来た円谷皐の方が余程問題あるんじゃねえの?と思いたくなります。

 円谷英二は京都時代の火災以来、親族以外との人間関係を信用しなくなり、戦時中の川上景司ら弟子の引き抜き、渡辺明の独立もあって親族第一主義があったので、円谷皐の失敗を、それまで円谷プロの成功を築いてきた金城哲夫におっかぶせた、極端に言えばそう言われても仕方ない事をしてしまったのかも知れません。

 当時「神様」とまで言われた円谷英二には、生い立ちから来る、極度に強い癖があったのではないかと思います。
 その円谷英二を父の様に思い、円谷一を兄の様に思っていた金城哲夫の想いは、結局はその後の帰郷、海洋博での葛藤、そしてあまりにも悲しい死へとつながって行きます。

「マイティジャック」には無限の夢と、果てしない絶望が同居する、特撮マニアには、いや私個人には、一言では言い表せない、それでも愛して止まない存在なのです。

 せめてこの異世界では、そんな不遇な作品ではなくしてあげたいと思うのですが。

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