春風秋雄

小木曽友宏が胆石で入院すると、そこには前職の同僚の彼女だった池田千菜美が看護師として働いていた。当時小木曽は、二人を取り持つために奮闘していたので、まだ二人が結婚していなかったの…

43歳の杉江紀夫が務める会社が、山梨県の廃校となった小学校を買い取り、新たに情報システムセンターを設立することになった。杉江はその責任者として任命されたが、その小学校は31年前に…

前川悟は部下や後輩、そして同僚からよく相談を受けていた。面倒見の良い前川は、無下に断れず、グラスビール１杯を飲む間だけ相談を受けることにしていた。ある日、同期の篠山瀬里香が相談に…

高校卒業以来、15年ぶりに地元に帰ってきた小堀祥太郎がスーパーで買い物をしていると、高校時代に好きだった佐野美里と偶然出会った。 美里はお母さんの誕生日にすき焼きにしようと思った…

52歳の高梨俊介の、学生時代の友人が入院した。お見舞いに行くとその友人が、入院をきっかけに、人生にやり残したことがないように、残りの人生を送らなければいけないと思ったと言い出した…

35歳の杉内大吾が働く会社に、次々に付き合う男を替えていると噂されている水原麻美という女性がいた。その女性は杉内の同期で仲の良かった木下達也の婚約者だったが、木下は3年前に突然帰…

沓名忠幸は、父親が起こした沓名電気興業の跡取りだった。子供の頃から可愛がってもらっている月島株式会社の島社長の紹介で、お見合いに向かう途中、取引先が不渡りを出したと連絡が入る。会…

妻を亡くして12年になる古谷真澄は、一人娘も嫁ぎ、独り暮らしをしていた。ある日、娘の朋美が「たまには日帰り旅行でも行きなさい」と言って、バスツアーに申し込んでくれた。ところが、娘…

32歳の古川修平が久しぶりに実家に帰っていると、地震がおきた。築50年以上経っている家なので、倒壊の恐れがあると思い、外に出ようとしたところ、兄嫁の従妹の純玲さんがお風呂に入って…

父親の葬儀だというのに片瀬樹弥は涙ひとつ出てこなかった。喪主席に座るのは父の再婚相手の文江さんだった。樹弥は父が再婚してから家を出て、新しい家族とは疎遠になっていた。相続の問題で…

古賀真人は仕事で思い出の街を14年ぶりに訪れた。そこは新卒で入社した会社の研修が行われた街だった。半年間の研修の間に、ひょんなことから一人の女性と出会い、恋をした。しかし、研修が…

独身で一人住まいの高瀬健太のところへ、親友の繁晴が「うちの姉ちゃんを匿ってくれ」と朱音さん親子を連れてきた。朱音さんは旦那さんからDVを受け逃げているということだった。裁判で離婚…

篠原圭吾が目を覚ますと、隣で女性が寝ているのに気付いた。昨夜はかなり酔っぱらっていて、どうしてこうなっているのか、記憶がない。その女性は会社の同僚の立花桃香だった。立花さんには婚…

遠野吾郎は、ファーフラット株式会社の前社長である平林雄三氏に頼まれて、雄三氏の娘さんで現在のファーフラット社の社長である玲奈さんを助けるため、ファーフラット社に入社した。玲奈さん…

高杉英明は、結婚を考えていた女性に裏切られ、心の傷を癒すため、祖母がいる田舎でしばらく過ごすことにした。祖母はその村では皆に頼られており、様々な人が祖母のところに相談にきていた。…

親から譲り受けた財産で、お金に余裕のある大場基樹は、夢のある若者を応援するため、ベンチャー企業へ投資をしていた。ひょんな流れからメンズエステを開業したいという横峯小夜子に出資する…

早くに母親を亡くしていた滝沢康平は、唯一の家族だった父親が亡くなり、遺品整理をしていた。ノートパソコンを開くと、写真フォルダーに見知らぬ女性の写真が十数枚出てきた。写真にはその女…

50歳を迎える年に開催された高校の同窓会に出席した佐野隼人は、高校時代に好きだった小百合が病気で亡くなっていたことを知る。小百合の一番の友達だった紀子が、一緒に墓参りに行こうと誘…

土屋充嗣は、若い頃に最愛の彼女と別れ、その後2回の結婚に失敗し、55歳になった今、バツ2の独身だった。ある日、大学時代の友達から連絡があり、懐かしいメンバーが集まって飲み会をする…

42歳の樋口康之が、帰省のため新幹線に乗っていると、隣の学生が弁当を買い忘れていた。話を聞くと、学生は同郷の小倉出身だった。可哀そうに思った樋口は、自分の弁当を譲ってあげる。それ…

故郷の熊本を出て、一旗揚げようと東京へ出てきた大野繁だが、不運が続き、故郷に帰れぬまま年をとり、病で最期を迎えようとしていた。繁には今際の際に会いたい人物が二人いた。それは故郷で…

45歳の高部睦弘は、夕方近くに入ったハンバーガーショップで一人の女子高生と知り合う。色々話すうち、女子高生は突然「私のお母さんと結婚して、私のパパになって」と言い出した。戸惑う高…

37歳の堀池裕一は、ココアと名乗る女性と、月に１回ホテルで密会をしていた。ココアさんは、裕一がグリーフというハンドルネームで投稿しているSNSのファンだった。密会を重ねる毎に、コ…

45歳の聖志が泊まった旅館は、閑散期で宿泊客は聖志と一人の女性だけだった。ひょんな事からその女性と会話を交わし、夕食を一緒にすることになる。お互い素性は明かさず、連絡先も交換せず…

32歳で独身の石川敏治は、過去の失恋で恋愛に臆病になっていた。ある日、体調を崩し寝込んでいると、熱が上がってきた。土曜日の午後なので行きつけの病院の診療は終わっている。仕方なく、…

漫画家を目指しているが、まったく目が出ない独身の濱川基樹だが、唯一の肉親の母親が病気になり余命2年となった。孫を抱きたかったという母のため、基樹は子供を作ろうと決意するが、相手が…

堂島グループに吸収合併された榎本エンジニアリングの次男として生まれた榎本冬樹は、堂島家へ婿養子に入ることが決まった。しかし、その相手は堂島家の二人の娘さんから冬樹自身が選ぶことに…

小さな出版社を経営する廣瀬智博は、大学の後輩が経営するデザイン事務所にデザインを依頼していた。廣瀬の会社を担当する美人デザイナーの大内さんは、非常に疲れた顔をしていた。話を聞くと…

芹澤真也は、東京の有名料理店で働く腕の良い料理人だったが、交通事故で左足が不自由になり長時間板場に立てなくなった。料亭を辞めた真也は実家に戻り稼業の軽食喫茶で手伝いをしていたが、…

大見涼平が住むマンションの隣の部屋には、シングルマザーの盛山さんが住んでいた。夜な夜なお隣さんの赤ちゃんの夜泣きに悩まされていた大見だったが、子育ての大変さはよく知っていた。ひょ…

結婚に失敗し、バツイチの富永雅也は二度と結婚はしないと決めていた。そんな富永には気になる女性がいた。朝の通勤電車で時々見かける女性だ。その女性はいつも本を読んでいた。ある日富永は…

野沢史生が仕事で昔住んでいた街へ訪れると、学生時代に住んでいたボロアパートは駐車場になっていた。すると、そこに見覚えのある車があった。それは学生時代に史生が乗っていた車そのものだ…

大手企業のエノキダコーポレーションの跡取りである榎田颯太は、取引先の社長の娘さんとお見合いをする。しかしお見合い相手の彩菜さんは、親に無理やりお見合いさせられただけで、本人は結婚…

48歳独身の石塚淳史は74歳の父親が再婚すると聞いて驚いていた。すると父親の結婚相手の娘さんが、結婚は諦めるよう父親を説得してほしいと淳史に頼みにくる。どうも相続問題を懸念してい…

親の影響でさだまさしのファンになった久保田勇也は、湯島聖堂で甥っ子の合格祈願の合格鉛筆を買った帰り、聖橋で檸檬を投げようとする女性を見つける。慌てて注意したのをきっかけに、その女…

勝原恒人は学生時代から友人の倉本孝輔とルームシェアをしていたが、孝輔は結婚を機に部屋を出ていた。その孝輔が失踪したと奥さんの麻美さんが恒人の部屋に来る。旦那さんの収入がなく、家賃…

影山真司は昨年末に届いた喪中はがきを何度も見返していた。学生時代に好きだった喜美香さんが41歳の若さでこの世を去ったということだった。迷った末に喜美香さんの一周忌に線香をあげに行…

日高健介はヒダカコーポレーションの創業家に生まれながら、関連会社に出向になった。その関連会社には、親の命令で政略結婚をするために泣く泣く別れた昔の恋人がいる。すでに政略結婚の相手…

司法試験を目指す磯島裕人は、パティシエを目指す井上春奈と恋におちる。恋に溺れ、勉強がおろそかになる裕人。そんな裕人を見かねた春奈は、パティシエの修行のためパリへ行くという。弁護士…

10年近く音信不通だった父親から、頼みがあるから会いたいと言われた有本孝之。父親が現在住んでいるという滋賀県甲賀市へ行くと、小さな女の子がいた。父親は孝之にその子を預かってほしい…

プロになるのを諦めて、趣味で写真を撮っている魚谷克夫は、今年の桜は会津の鶴ヶ城で撮ることにした。桜を撮っていると、美人なのだが暗い顔をした女性が自分の写真を撮ってほしいと頼んでき…

総合商社に勤務する伊久間明憲は２か月前に妻と離婚したばかりだった。イラツク気持ちが仕事に出ているのを見かねた同期入社の成瀬智香が伊久間の相談相手に乗ってあげていた。そんな折り、成…

平塚勇也は高校時代の同級生の訃報を聞いて、20数年ぶりに故郷の鳥取へ帰る。通夜の会場で勇也に声をかけてきたのは、同級生だった上杉聖子だった。久しぶりの鳥取なのだからと、勇也をドラ…

青山繁はプロを目指しているギタリストだった。そんな繁をいつも客席が見ている菜月というファンがいた。いつしか菜月と一緒に暮らすようになった繁だが、二人の間に子供ができて、繁の人生が…

今井陽太は、独身の身でありながら、亡き弟の息子海翔の保護者として、毎朝保育園へ送っていた。海翔の一番の仲良しである美琴ちゃんのお母さんとお近づきになるが、美琴ちゃんのお母さんはシ…

まったく成績が上がらない営業マンの富山幸次は、会社ではお荷物の存在だった。唯一の息抜きに週末に飲みに行くカラオケ・バーで知り合った千賀子さんは、会うたびに「早く会社を辞めなさい」…

山鹿勝昭は、学生時代に別れた元カノが忘れられず、30歳にして独身でいた。その元カノの友達で、学生時代に元カノを含めて一緒に遊んでいた千秋から突然電話がきた。出張で俺が住んでいる四…

友長俊平が贔屓にしている小料理屋の常連客である藤城の親父さんは、俊平に会うたびに、自分の娘を嫁にもらってくれと、しつこく迫ってくる。会ったこともない娘さんの話をされても困惑するだ…

東雲航が運転するタクシーに一人の女性が乗って来た。その女性は子供の頃航が好きだった、初恋の相手だった。運転手紹介のパネルを見て航だと気づいた女性は、タクシーに乗るときは、航に頼む…

39歳の関口慎吾が大学時代のテニス部のOB会に出席すると、右隣に大学時代に付き合っていた元カノが、左隣に2年前に別れた元嫁が座っていた。二人に挟まれ、居心地の悪い時間を過ごしてい…